死地より愛を込めて ②
タイトルを変えました。
今までダークグレーだったのが、オフホワイトくらいにはなったと思います(笑)
「そろそろお前らの目的を聞かせてくれないか?」
列の最後尾でナデシコが呟いた。
サキはナデシコを一別し、軽い口調で話す。
「このダンジョンって誰が作ったと思う?」
突然の問いにナデシコは答える事が出来なかった。
「どんなに倒しても尽きることの無く、階層順に強くなる敵。誰が置いたか分からない宝箱。きっとこのダンジョンの一番奥には、誰かが居るはず。私達はそれを見てみたいの」
「このダンジョンを作った?特別なアイテムが在るとすれば、誰しもが望む世界が思いのまま!私は、私の理想郷を創るのが夢なの!」
多くを語るサキの顔は、子どもみたいに無邪気で善悪の判別を超え、ただの好奇心の塊で出来ている様であった。
「私は、そこまで考えた事は無い……」
ナデシコは俯き、前に居るコットンの背中に虚無を見た……。
「私達はもうすぐ地下8階だけど、奴等には違う道を進ませた。今頃は誰か死んでるんじゃない? フフ、フフフ」
サキの遠慮の無い笑いが、ナデシコの心をどうにかしようとしていた……。
* ベネット *
「ベネット?」
リースは朽ち果てた看板から辛うじて読み取れた、名前と思われる単語に首を傾げた。
かつて扉が着いていたと思われる場所には無理矢理こじ開けた様な跡が見られ、リーダー達はここで飼われていた何かが逃げ出したのだろうと察した。
「気を付けろ、ここから先は命の保証対象外だ……」
リーダー達は意を決して扉跡を進む。
小部屋には薄汚れた鎧や盾が散らかっており、壁や床には無数の引っかき傷。砕かれて小さくなった骨の数々が部屋の片隅に山積みになっていた。
「こりゃひでぇ……」
「まるでだれかが何かを飼っていた様だな……」
リーダーは落ちていた盾を1つ拾うと、名前が書かれていないかを探した。
「たまにどこを捜しても見つからない冒険者は、こういう所へ運ばれてたんだな」
盾の持ち手に小さく書かれたかつての持ち主は、きっと部屋の片隅で粉になった誰かに違いないだろう。
「……悪趣味ね」
リースは遺骨の無念を汲み取りながら、小さく手を合わせた。
部屋の奥には脇へ進む扉が続いており、僅かに開いた扉から少し風が吹いていた……。
「行くぞ」
リーダーが合図をすると、各々が気持ちの整理を終わらせ自分だけはコイツらの仲間にならない様気を付けねばと、先へ進み始めた。
通路は幅が狭くなり、2人並んで通るのがやっとの程だった。
時々靴の裏に付く不快な粘液の持ち主は一体誰なのだろうか?
リースは時々後ろを振り向きながら、己の進んだ道に疑問を感じていた。
少し開けた場所に出ると、岩壁の窪みに頭蓋骨が沢山並んでいた。
形からして冒険者達の物だろう。
これらが誰だとか言う前に、6人は途轍もなく嫌な予感に襲われた。
……自分たちもココに並ぶのか?
後ろを振り返ると、通路を塞ぐ様に灰色のサイ頭が鼻息荒く、大きな曲刀をギラギラと光らせながら待ち構えていた。
彼の目の前に映るのは久々の獲物か、それとも新たなコレクションなのか……。
僅かに読み取れた革の首輪の文字には
* ベネット *
と書かれているのが見えた。




