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破竹の決死行 ③

 地下7階は人の手が全く加わっておらず、天然の迷宮に挑む4人はモンスターの国に戦争を仕掛けているような気分になれた。


 いきなり道が分岐しており、左右どちらへ進むかで4人の明暗が分かれると思うと、先んじて発言する者は誰も居なかった。

 流石のサキも魔の気配が強く漂う地下7階に、少しおとなしめだ。


「右から来る、気を付けて!」


 4人は通路から現れたモンスター達と遭遇した!



  ヴァンパイアロード 1

  ドラゴン忍者    2


「ヴァンパイアロード、噛まれたらアウトよ! Lvを吸われて弱体化するわ!!」

 サキの言葉に緊張が走る。


 コットンは無詠唱でドラゴン忍者の周りから空気を奪い去った!

 ドラゴン忍者の1人はもがき苦しみ口から泡を吐いて窒息死したが、もう1人には素早く回避され逃げられてしまった。


 サキは無詠唱でドラゴン忍者の足元を凍らせていく……。

 足を捕られたドラゴン忍者は徐々に凍っていき、全身を氷に覆われ凍死した。


 アンナはヴァンパイアロードと打ち合い、隙を見てナデシコが腕を斬りつけた!

 しかし、傷は浅くナデシコは反撃の拳を肩に貰う。


「ぐはっ!!」


 ヴァンパイアの上位種は素手による攻撃も高威力で、ナデシコは攻撃を受けた方の手に力が入らない程激痛に見舞われた!


「こいつに呪文は効き難いわ!」


 サキは亜空間から巨大な鎌を取り出し、ヴァンパイアロードに斬りかかる!

 素早く躱すも、アンナとコットンの波状攻撃を受けよろめいた。


 ヴァンパイアロードは氷結呪文を詠唱した!

 凍て付く冷気が4人を襲う!


 コットンとサキは呪文を相殺する温かいシールドを展開し、アンナは素早くサキの後ろへ周った。

 ナデシコは避けようとするも肩の痛みで動きが鈍く、岩に躓き転んでしまう。


「大丈夫?」

 とっさにコットンはシールドを展開したままナデシコの援護へ回った。



 サキが激しく泡立つ粘液を手から噴射した。

 ヴァンパイアロードは咄嗟に回避する。


「当然そっちへ避けるのは織り込み済みだ」


 サキの後ろにいた筈のアンナの姿が見えない。


 ヴァンパイアロードが上を向いた瞬間、落ちてくるアンナに顔から真っ二つに斬り裂かれ、それぞれ地面に倒れた。




「大丈夫ですか?」


 コットンは座ったまま動けないナデシコの治療に入った。


 ナデシコは己の非力さと、ダンジョンの恐ろしさを1戦で痛感した……。


「私は……弱い」


 城の兵を犠牲にしてまで進んだ己の道は、もう足を置く場所がない程に細くなっており、ここが自らの終点と本能がはっきりと理解してしまった。


「お前らは何者なんだ……」

 ナデシコは俯いたまま問いかける。


「何って……冒険者よ♪」

 サキはにこやかに応えた。


 卑下し続けた冒険者が、今確実に自分より上に居る。

 受け入れるには騎士として、国王の娘としてのプライドが許さなかったが、認めるしか無かった。それが今目の前で起きている現実なのだ。


「どうする?帰るなら今よ」


 サキの言葉がナデシコの心を容赦なく折りに来る。


 もう城に自分の場所は無いだろう。ここで死ねば楽になる。


 ……

 …………

 ………………それでも先へ。それが彼女の最後の望みであった。


「……まだ……行ける…………」

 聞こえるか聞こえないか分からないくらい小さな声がナデシコから発せられた。


「そう……。じゃあ行きましょう。貴女が望む世界はこの先よ」


 知らず知らずのうちに彼女を勇気づけていた自分に照れながら、サキはナデシコに手を差し伸べた。

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