それぞれの決意と
「お待ち下さいナデシコ様!!」
城の警備兵隊長デアスは己の道を進む女騎士の前へ飛び出した。
「デアス!至急城の精鋭を集めよ!あの下らぬダンションの息の根を止める!!」
ナデシコと呼ばれた女騎士は、デアスの懇願に足を止めること無く己の道を進もうとする。
「やはりあの街は腐っている!ただちにダンションを攻略し、あの忌々しい街の歴史に終止符を打ってやろう!!」
「お待ち下さい!未だ地下7階を制覇した者も居らず、危険でございます!先ずは冒険者たちを集い、先兵とするのが上策かと……」
デアスは女騎士から目をそらすこと無く、真っ直ぐに立ち塞がった。
「奴等には頼らん!! それに父上の了承も得ている。いいか、これは訓練では無い。直ちに決死隊を集え!!」
引く気の無いナデシコに、デアスはついに目をそらした……。
「……承知致しました。仰せのままに……」
突如として街に広がる、城兵によるダンション攻略作戦。
国王の娘ナデシコ直々の指揮に城兵の士気は高く、街の住人からは期待の声も挙がっていた。
しかし、冒険者達の反応は実に冷ややかで、反対する者も多かった……。
「で? 実際の所どうなの?」
いつも通り酒場がアジトな4人。しかし今日は酒は無しだ。
「まずは地下6階の制圧だろうな。おそらく城の奴等は地下7階に降りたことは無いはずだ」
リーダーは出されたコーヒーに手を付けること無く、時折窓の外を眺めていた。
「私はその女騎士様知らないんだけど、前にもこういう事があったの?」
リースは出されたクッキーを一口齧り、最近お気に入りの抹茶味を楽しむ。
「ああ、昔地下4階と地下5階で派手にやらかしてたよ。城兵の訓練と名して、俺達の仕事を奪ってったのさ。その時に何人も死んで、寺院にも運ばれたな」
「オイラもこっそり覗きに行ったけど、ありゃあ猪武者だね。城兵が可哀相だったよ」
フェリーは手にしたクッキー1つで顔が隠れてしまい、まるでクッキーが喋っている様だった。
「で、今回の俺達の仕事は?」
エルがにやりと微笑む。
「モンスターが減れば安全にマッピングが出来る。残された宝箱も開けれる。傷付いた城兵から治療費を取れる。どうだ?」
「それと、今回は万が一を考えて6人で行く。あと2人は後で探そう」
リーダーの提案に各々が納得し、頷いた。
「よし!それじゃあ奴等に冒険者の仕事を披露しに行くぞ」
「城の方が騒がしいわね」
「姉上、どうやら城兵達が本気でダンション攻略を始めるみたいです」
「ふふ、面白そう。私達も行こうかしら? ね?コットンちゃん」
ベッドの上のコットンは、いつにも増して雄の性を曝け出していた……。
それぞれの決意と思惑が交差しダンションを取り囲む。
しかし彼等は決して差別をしない。誰とも無く皆等しく死を分け与えるのだから……。




