覚醒のコットン ②
ダークゾーン+回転床。私が一番嫌いな組み合わせです。
そこに壁の電流が加わると、発狂します……。
「フェリー先輩、本当に放っておいて大丈夫なんですか?」
ニーナが心配そうにコットンを見つめた。
「ああ、あの無詠唱呪文はアルケミストの技だ。錬金術とも言って、無詠唱で呪文を出せる優れものだ」
フェリーはペラペラとニーナ達に説明する。
「いや、そこじゃなくて……」
ニーナの声が小さくなる。
「ん? ああ! 大丈夫! コットンは大人になったんだ!! なぁ!」
そう言うとフェリーはコットンの肩をバンバンと叩いた。
フェアリーに叩かれても大した衝撃は無い。
「記憶は無いですが、溢れ出る自信とみなぎる力。おそらくその通りだと思います」
コットンはそう言って力こぶを作るが、筋力は変わっていない様だ……。
地下4階の敵は現れた先からコットンが呪文で瞬殺してしまい、他3人の出番は全く無かった。
それでも経験値は入るので、ハリーとニーナは一段と強くなった気がした。
その勢いのまま地下5階へ進む4人。
地下の空気は重苦しく淀み、息をするのも躊躇う程であった。
「いる、準備せよ!」
コットンの言葉に周囲を警戒する3人。
ヨロイの擦れる音がする方向には、ゾンビの行進が地獄の賑やかさが出迎えてくれた。
サムライゾンビ 5
縦に並んだゾンビに向かい、無詠唱で氷柱を飛ばすコットン。
避ける事も無く、サムライゾンビたちは胸を貫かれ動かなくなる。
辛うじて傷の浅い最後尾のゾンビが立ち上がり、ハリーに襲い掛かった。
ハリーはゾンビが振るったボロボロの刀を、最近ボッタ商店で買った曲刀で受け止めた!
肉は朽ち、骨が見えるゾンビの力は見た目以上に強く、ハリーは徐々に押し負けていた。
ニーナが筋力増強の補助呪文を詠唱し、ハリーを支える。
ハリーに夢中なゾンビの後ろで、フェリーは軽やかに小刀を振るいゾンビの首を刎ね飛ばした……。
「はは、これが地下5階か……」
ハリーが地面に大の字に寝る。
己の力不足を大いに痛感し、今頃やってきた死への恐怖で動けなくなってしまった。
「ごめん、今日はもう帰ろう……」
ハリーは腕で顔を隠し、袖を濡らした。
そんなハリーを見たニーナは優しく手を取りハリーのそばを離れなかった。
*スイートルーム*
控えめなノックが部屋に響く。
軽やかに開いた扉の先には淫らな恰好の姉妹が居た。
「あの……俺もコットンの様に大人にしてください!!」
ハリーは自分が思いつく精一杯のお願いを姉妹にぶちまけた。
「ごめんね、呪文使えない子は無理なのよ……」
優しい嘘で応えるサキ。
「そ、そんな!」
ハリーは頭が真っ白になり、机の上に置いてあったこれから来るであろう客人用の手料理が目に入ると、無心で食べ始めた!
「あ、あ〜あ……」
姉妹の手料理を食べ自我を失い豹変したハリーを、サキは無詠唱の転移呪文で近くのカフェへ飛ばした。
「キャーーーー!!」
「痴漢よーーー!!」
「兵隊さん呼んでーー!!」
カフェは騒然となった。
「ぷくくくく……」
必死で笑いを堪えるサキ。
「姉上!お行儀が悪すぎです!」
アンナが咎めるも、サキの笑いは止まらない。
「くくく、私だって楽しみたいもの。×××の小さいヤツはお断りよ」
「姉上!!!!」
全裸で女性たちに襲い掛かったハリーは城の兵に捕まり、しばらく投獄されてしまった……。
ハリーの可愛いハリーは、街中の恰好の噂話としてしばらくの間持ち切りとなった。




