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リースの胸中 ③

 リース達は地上へ戻ると城へ行き、ダンションに置いてきた盗賊達について通報した。

 すぐさま警備兵達が現場へ向かう。


「さて、だいぶやられたし今日は酒……と言うわけにはいかないわね」

 リースは少し笑うと、グレイとカリンにお金を手渡す。


「今日の報酬よ。迷惑料も入っているわ。受け取って頂戴」

 2人は顔を見合わせ、とりあえず受け取ることにした。


「リースはどうしてそこまで金を欲しがるんだ?」

 グレイが率直に聞いた。


 女手1人で寺院を運営し、ダンションでも命をかけてお金を稼ぐ。

 そこまでする理由が気になったのだ。



 リースは少し悩み、微笑みながら話す……。


「何故かしら……。私はね、お金が無いと不安なのよ。特に使い道も無いけれど、何故か欲しくなるのよね」


 リースの寂しそうに笑う顔に、深く追求する事を止めたグレイ。


「今度、一緒に食事でもどうだ」


「当然あなたの奢りかしら?」

 リースは特大の笑顔で応えた。





 2人と別れ、大通りを歩くリース。

 カフェテリアで本を読むエルとサキュバスが目に入る。


「最近見ないと思ったら、こんな所で勉強?」


 後ろから近付き声を掛けるリース。

 エルが振り向き、ボロボロのリースに驚いた。


「随分とボロボロじゃねぇか」


「ええ、危うく私が蘇生される立場になりかけたわよ」

 

「そしたら俺が灰にしてやるよ」


「止めてよね……」


 失笑まじりのリースが、チラリとエルが読んでいた本を覗く。


  *呪文構想史*


「まだ解けないの?」

 リースがエルの対面に座るサキュバスを睨みつけた。


「ハァーイ」

 女は陽気な返事をし、エルを眺めていた。


「段々と効果は弱まりつつあるんだが、解呪が上手くいかなくてさ……」

 エルは頭をボリボリと掻きながら本をペラペラとめくる。


「いっその事首を刎ねたら?」

 その言葉にエルが立ち上がった。


「こいつは何も悪いことはしていない!」

 すぐにばつが悪そうに座り直すエル。


「もしかして惚れたのかしら?」

 リースは自分でも嫌な質問をしているなと思ったが、開いた口が塞がらなかった。


「そんなんじゃねぇよ……」


 エルは本をしまい、立ち上がると去ってしまった。

 女がエルの後を一歩離れてついていく。


「確かに効果は薄れてるわね……」


 リースも寺院へと帰ることにした。




 寺院に戻るリース。

 扉を開け、帰宅の挨拶をしても返してくれる人は居ない。


「もしかして、寂しいのかしら……」


 ぽっかりと空いたリースの胸中を埋める『何か』は当分見つかりそうも無い……。

読んで頂きましてありがとうございました。

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