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リースの胸中 ②

主人公と言えども死ぬ時は死ぬ。


お気に入りのキャラが死んでダンジョンに残された時、

新たな物語が始まる感じがして好きです。

 ドスッ……


 肩にカリンの矢が刺さり、うずくまる盗賊。

 しかし、残りの盗賊達はひるむこと無く立ち向かってくる。


「犬を押さえろ!トカゲはいなせ!」


 リースの顔の脇を鎖に繋がれた分銅がかすめる。

 矢を打たせない様に2人がかりでカリンに襲いかかり、1人がグレイが援護出来ないように間に入りグレイを牽制する。

 盗賊の頭と思われる男が指示を出しながら、リースの相手をしていた。


 カリンの弓に分銅が絡まり、弓が奪われる。

 武器を無くしたカリンは盗賊達に防戦一方となり、あっという間に袋にされてしまう。


「カリン!!」


「おっと!余所見をしている場合か?」

 グレイの相手をする盗賊は機動性重視の小さな盾を持ち、自分からはあまり仕掛けずグレイの槍を捌きながら時間を稼いでいた。


「コイツら闘い慣れているわ!」

 リースは相手の攻撃速度に対応しきれず、呪文を詠唱する間も無く盗賊と肉弾戦で押し負けていた。


 盗賊の頭は嬲るようにリースを弄び、鎖鎌と短剣でジワジワリースの命を削っていく。

 リースの戦闘用修道服は己の血で染まり、鮮血の水玉模様となっていた。


「へへ!女を殺るときが一番気持ちいいぜ……」

 頭は短剣でリースの服を執拗に狙い、少しずつ確実に切り裂いていく。


「またおかしらの悪いクセが出てるぜ……」

「あれじゃあ俺達の分が残らねぇな」

「久々の女なのに、犬っころじゃ満足出来ねぇよ……」


 鎖で絡まれ身動きが取れなくなったカリンに蹴りを入れ、盗賊2人がグレイの周りを取り囲んだ。


 グレイは3人の攻撃を避けながら攻め続けたが、今ひとつ有効打に欠け中々倒せずにいた。


 3方向から鎌が飛び、グレイの体力を確実に削ってゆく……。


「お前はバッグかベルトにしてやるよ!」

 盗賊の飛ばした鎖付き分銅がグレイの槍に巻き付いた!

 盗賊は得意げに舌を出し、槍を引き奪おうとする。


「ふん!」


 グレイが槍を瞬時に回すと槍の刃が取れ、急に力が掛からなくなった鎖を引く盗賊は尻餅を付いた。


 そして、グレイの槍が3つに折れ曲がり三節棍に変身した!



「ホウ!」


 巧みに三節棍を振り回し、盗賊の横っ面に強烈な一撃をお見舞いするグレイ。

 盗賊は倒れた勢いで頭を打ち、気絶してしまう。


「ア!タ!タ!」


 右から左へと忙しく飛んでくる棍は、とても盗賊風情が太刀打ち出来る速度を超えており、全身打撲の盗賊はすぐに倒れて突っ伏してしまった。


 尻餅を付いている間に仲間が2人もやられ、慌てて逃げる盗賊。

 グレイが振り返ると、リースの相手をしていた盗賊の頭は泡を吹き悶絶しながら白目を剥いて倒れていた……。


 リースは崩れるように腰を落とし、地面に座り込む。

 服はボロボロで、古傷や新しい傷を含め身体の至る傷が白日の下に晒されていた。




「どうやったんだ?」

 グレイが起き上がる力の無いリースに手を差し伸べた。

 リースははだける胸を左手で隠し、グレイの手を借り立ち上がった。


 リースが立ち上がると薬包紙の様な紙がヒラヒラと落ち、グレイはそれを拾い上げると、僅かに残っていた白い粉を指でなぞった。


「神経毒か?」


「ええ。でもどうやったかは聞かないで頂戴。思い出すだけで胸クソが悪くなるわ……」


 グレイはカリンの鎖をほどき、リースが治療に当たる。


「大丈夫?」

 リースの声がカリンに届く。

 想像以上にダメージを受けたリースの姿がカリンの目に入ると、カリンは飛び起きリースの身を案じた。


「貴女こそ大丈夫なの!?」


「何とかね」


 カリンが胸当てを外し、中に着ていた服をリースに手渡す。


「これ着て。そのままじゃあんまりよ」


 リースは一瞬血が付くことを躊躇ったが、ありがたく服を借りた。

 直前までカリンが着ていた服は、少し獣の匂いがした……。





「さて、こいつらはどうする?」

 倒れる盗賊達を縛り上げ、ひとまとめに転がすグレイ。


「このまま城に突き出すわ。今日はもうシスターじゃないもの……」

 リースは落ちていたベールを拾い、汚れを叩いた。

 しかし土と血で汚れ短刀で切られたベールは、もう被ることが出来なかった……。



「ついでに有り金も頂いていくわ」

 盗賊達の持ち物を漁り始めたリース。


「これじゃあどっちが盗賊か判らねぇな……」


 グレイは呆れつつも漁るのを手伝った。

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