リースの胸中 ①
どんなにLvが高くても、死ぬ時は死ぬ。
ダンジョンが容赦無く殺しに来る……。
「最近客が少ない!!」
朝から寺院を開けて客を待つが、いくら待っても一向に来る気配が無かった。
「いっその事、こっちから行こうかしら?」
このままでは今日の飲み代すら怪しい……。
リースは急いで支度をし、一緒に行ってくれる冒険者を探しに出かけた。
「おふたりさん」
リースはボッタ商店に居たリザードマンのグレイと、ラウルフのカリンに声を掛けた。
「あ、この間はどうも」
「……世話になった」
古くなった装備を新調するため、ボッタ商店を見ていた様だ。
とりあえず暇そうなので声を掛けてみる。
「これからダンジョンに出張寺院しようと思ってたんだけど、お二人さんに護衛をお願いしても良いかしら?」
2人は顔を見合わせた。
「地下3階~地下5階までをぐるりと回って、動けない人を助ける仕事。
道中の金とアイテムは全て取り分として持って行って結構よ」
「悪くないな」
「よし、我も行こう」
「それじゃあお願いね!」
話しが済んだ3人はダンションへと足を進めた……。
出て来るモンスターはグレイとカリンに任せ、リースは護衛に徹する。
道中遭遇した、動けない冒険者を見つけては特別料金で回復を行っていく。
背に腹はかえられない。どんなに高額でも出す人は多かった。
死体は階段側へと移動させ、後でまとめて運び出すことにした。
地下4階へ進み、一行は通路の片隅に不思議な目印を見つけた。
それは冒険者が着けたような目印に見えたが、リースの記憶では目印の先は行き止まりだった気がした。
リースは無言で2人を手招き、目印を指差した。
グレイが静かに様子を探ると、そこにはダンジョンに住み着く盗賊が3人横たわっているのが見えた。
もう少し近づいてみると、3人は血に塗れており生きているのかどうか怪しい状態であった。
「リース、出番だ。3人居るぞ」
リースとカリンが奥へ進み、倒れている3人の様子を診た。
「ダメね、1人しか生きてない」
リースは既にHPが尽きかけようとしている初老の男を回復し、少しすると意識を取り戻す。
「……助かった。すまない」
男は立ち上がり、そして残りの2人の死を知り絶望する。
「1人2000Gで蘇生出来ますが、どうしますか?」
「え?」
いきなりの金の無心に戸惑いの色が隠せない。
と言うか、金を取るのか? そんな顔をしている。
初老の男は自分の身体を弄り、財布を探す。
しかし、装備はおろか道具一つも持っていなかった。
「すみません、どうやら盗られたみたいです。帰ったらお渡ししますので……」
カッ……カツン……カツン……
この行き止まりへ来る何者かの足音が聞こえた。
ゆらりと怪しげな瞳が光り、鎖鎌を持った男達が5人程通路を塞ぐように現れた!
「ケケ、餌に引っかかったみたいですぜ!」
「オ!女もいるでねぇか!」
男達の下品な声がこだまする。
どうやら、ここらで冒険者を襲う盗賊達の様だ。
襲った冒険者をエサにして新たな冒険者を呼び、袋小路で身ぐるみを剥ぐ。
それが彼らのやり方だった。
「お前らか!!」
初老の男は盗賊達に殴りかかろうとするも、あえなくかわされ、逆に袋叩きにされてしまった。
「お前らもこうなりたくなければ大人しく金をよこせ」
ボコボコにされ、リースが回復する前に戻ってしまった男が通路に横たわっている。
「どうするんだ?」
グレイがチラリとリースを見た。
「当然こっちよ!」
リースはフレイルを構え、徹底抗戦の意思を見せる。
「……だよな」
グレイも槍を構えた。
「どうやら痛い目に会わないと分からないアホの様だな!!」
盗賊達は、鎖鎌を振り回し一斉に襲いかかってきた!




