ニーナの後輩 ③
「エルさんどう思います~~!」
顔を真っ赤っかにしたニーナが、酒瓶片手に机に突っ伏していた。
「全員が生きて帰れたんだから良いんじゃないか?」
いつもと違う店で静かに飲んでいたエルは、何故かニーナの相手をする羽目になっていた。
「アンタに威厳が無いんじゃない?」
サキュバスも居た……。
「階層ごとのモンスターやトラップはある程度学園で習いますし、私は彼等に緊張感を持って欲しかっただけなのに……」
「ウサギに首飛ばされなくて良かったな」
「1人ウサギにやられて死にかけましたけどね……」
ニーナは瓶に残った酒を飲み干すと、大声で追加の酒を注文した。
「アンタ酒癖悪いわね……」
その言葉にニーナはサキュバスをジロリと睨みつけた。
「そもそも貴女誰ですか?」
「ワタシ? エル様のコレよ」
サキュバスが嫌らしく小指を立て、指を動かす。
「あ、そう。私には関係ないことですね」
ニーナはそっぽを向き、運ばれてきた酒を奪うように手にした。
「まあ先輩としては、後輩に慎重に行って貰いたいけれど、誰しも一度は踏み外す。
それが早いか遅いかの差さ。そこで死ぬ奴は運が無いだけの話しさ。今回はお互い勉強になったんじゃないか?」
エルは酒に溺れるニーナを優しい目で諭し、持っていた酒瓶を取り上げた。
「ダーリン?」
サキュバスが軽く首をかしげた。
「もう彼らも学生じゃない。金が絡めば喧嘩もする。
死ねばそれまで。後は自然の流れに身を任せるさ」
エルの言葉に納得のいかないニーナは突っ伏したまま、無言で机を指で小突いた。
「後輩達同様、ニーナも変わるときが来たようだな」
エルはしみじみと酒を口にし、遠き日の自分自身を重ね感情に浸っていた……。
「ニーナ。そろそろ帰るぞ……」
エルがニーナを揺さぶるが反応が無い。
「ニーナ?」
「すー……すー……」
「……寝やがった」
エルは勘定を済ませ、ニーナを持ち上げて店を後にした……。
「まったく……最近ガラにも無い事ばかりだぜ……」
エルの心に僅かばかりの隙間風が吹く。
夜風に身を任せ、エルは家路へとついた……。
「ダーリン コイツ襲うの?」
「お前と一緒にするな」




