ニーナの後輩 ②
「学園の模擬ダンションに似てますね」
後輩達は初めてのダンジョンに、興奮しながらガヤガヤと奥へ進んでいく。
「何か緊張感が無いなぁ」
フェリーが一番後ろでぼやく。
「すみません、私も最初は同じでした……」
学園で習った隊列を組み、4人は地下1階を早いペースで進んでいく。
「ところで、エルさんと女性が一緒に居たんですが、あれは誰か判りますか?」
ニーナの質問にフェアリーはニヤニヤしながら、何て答えようか考えるだけで笑いが止まらなかった。
「さてね、オイラにはよく分からないな」
どう見ても知っている顔をしながら、フェアリーはあからさまにとぼける。
(あ、これ多分面白そうなやつだ)
ニーナは後で本人に聞きに行こう。と思った。
「先輩!スライムです!!」
後輩達は素早く戦闘態勢を取り、スライムと対峙した。
ブルースライム 3
バードがリュートを弾き、癒やしの音色にスライム達は猛烈な睡魔に襲われた。
眠ったスライムをモンクが拳で粉砕し、侍が切り刻む。
プリーストが神聖呪文で浄化し、初戦闘は華麗に勝利した。
「少し緊張しましたが、スライム程度なら余裕ですよ」
後輩達は自分の実力が実践で通じた喜びを感じていた。
そしてそのまま地下2階へと足を進めた……。
地下2階の敵も難なく倒していく後輩達。
ニーナとフェリーの出番は無く、後ろで見ているだけだった。
「先輩!宝箱です!」
ボロボロの木箱を指差す後輩。
フェリーはニヤニヤしながら後輩達を眺めていた。
後輩達の中には罠を解除出来る人が居ない。
彼等はフェリーを一目見たが、自力で何とか出来ないかと試してみた。
「鑑定呪文の結果は毒針よ。私解毒も出来るから大丈夫。開けてみましょう!」
プリーストの言葉に、怖れながら宝箱を開けるモンク。
すると…………
「あれ?何も作動しないぞ……」
後輩達の失笑が飛び交う中、モンクが中身の盾に手を掛けた瞬間――
ビュン!!
宝箱の隙間から、こぶし大の石が飛び出しモンクの目にぶつかった!!
「ぐぁぁぁ……」
モンクは流血し、慌ててプリーストが治療にあたる。
「ごめんね!ごめんね!」
治療の間、プリーストは誤り通しだった……。
ケチもついたし、そろそろ帰ろうか?
と言う雰囲気が漂う。
すると、先程のモンクが地下3階への階段を発見し、皆に提案した。
「地下2階も余裕だったし、行ってみないか?」
後輩達は皆顔を合わせ、乗り気な雰囲気を出す。
「そうだね行ってみようか」
「少し位なら……」
「先輩。先に進んでも良いですか?」
後輩の問いに、ニーナは――
「行くのも君たち。死ぬのも君たち。
君たちで決めてよ」
急に突き放すような事を言い、嫌われないかと心配になるニーナだが、彼等はもう学生では無いのだ。
冒険者として、自分の命は自分でなんとかしなければならない……。
しかし、コレが裏目に出てしまう。
「じゃあ行こうか……」
意固地になったモンクを筆頭に、後輩達は地下3階へと進んでしまった。
「ニーナ。君は間違ってない」
フェリーは暗い顔をするニーナに声を掛ける。
「彼等が選んだ事だ。
例え彼等がどんな目に合おうが
君が気にする事はない……」
それだけ伝えると、後輩達の後を追った。




