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武人の微笑み

戦闘民族は総じて脳筋

 正面を見据えたまま、ひたすらにモンスターの首を刎ねる2人の侍。


 城の兵たちは後ろで見ているだけの状態であった。


 寧ろ、実力差が有りすぎて下手に手を出せないのだ……。



「他愛も無い……」


 コジロウは血を払い、刀を納めた。

 コジロウのそばには青い巨人の首が2つ落ちていた。


「こちらも終わりだ」


 ノブユキのそばにも巨人の首が2つ落ちていた。


 このパーティを任されていた先頭の兵は2人を頼もしく思う傍ら、今隣で首を晒している巨人よりはるかに恐ろしいのではないか?

 と思った……。



 先頭の兵を差し置いて先へ進む2人。

 主導権を握られた兵達は後を追う事しか出来なかった。

 元々デアス隊の後を追う事になっていたため、あまり戦闘向きの兵が居ないのも大きかった。


 出てきた宝箱を開け、中身を頂戴し先へ進む。

 2人に敵う敵がおらず、段々と退屈になっていた……。




 いくつか玄室を抜けた先に鉄格子の扉があった。


 扉の奥は青い炎の松明が見え、扉の脇にはレバーがあった。

 それはまるで『何かを閉じ込める』様な配置になっており、

 城の兵達は只ならぬ空気を察した!


「どれ行くか」


 コジロウが迷いも無くレバーを引くと、鉄格子は天井へ上がり奥へ進めるようになった。


 兵達が補助呪文で周囲を警戒する。


 奥へ進むと、地面に奇妙な魔法陣があった。



「これは……何だ?」


 コジロウとノブユキが魔法陣を見つめ、刀で突いてみた。

 すると、重く響くハム音と地面へ伝わる様に広がる煙が現れ、

 魔法陣の中から白金に輝く1本角の悪魔が現れた!


「ほほう……少しは楽しめそうだな」

 コジロウとノブユキは静かに刀を構えた……。




  悪魔 1


 コジロウは姿勢を低くし、素早く悪魔に斬りかかった。

 悪魔は見えない力で斬撃を弾き、そのままコジロウの鳩尾に拳を1撃お見舞いした!


 ノブユキは瞬時に悪魔の背後へ回り込み、腰から切り払った!

 しかし刀は悪魔をすり抜け、空を斬る様に空振りした……。


 悪魔は指を鳴らすと、魔法陣から黄色い巨人がゾロゾロと姿を現す。


 それを見ていた兵達は絶望し、逃げる様に走った……。


「2人とも逃げましょう!!」

 先頭の兵が2人に呼びかけるも、彼等は微笑む――


「元よりこの命は捨ててある。我らに構わずゆけ!」


 コジロウの言葉に兵はレバーを上げ、鉄格子を閉めて逃げた。


「腕が鳴るなぁ……」

 2人は知らず知らずのうちに微笑んでいた。




 離れた場所で息を落ち着かせる兵達。

 メイジが脱出呪文の詠唱に入った。


 眩しい光が兵達を包む――


「待ってくれ!!」


 先頭の兵が突如叫んだ。

 光は収まり、兵達に静けさが戻る。


「少しだけ待っててくれ!」


 そう言い残すと、先頭の兵は魔法陣の部屋へ急ぎ走った……。




 謎の悪魔になす術無くノブユキが胸を貫かれ、コジロウも左腕を失くし死ぬ間際――


 ガラガラガラガラ……


 鉄格子が再び開き、先頭の兵士が帰ってきた!


「……お前」


 兵は一目散にノブユキを抱え、コジロウをさらう。


「あなた方に死なれちゃこっちが困るんですよ!!」


 コジロウの手を引き、懸命に走る兵。


 コジロウは咄嗟に自分の左腕を刀で刺し回収する。


 巨人の追撃を刀でいなし、鉄格子まで逃げる2人。

 レバーを上げ、鉄格子が降りると巨人たちは追ってこなくなった……。



「はぁ……はぁ……はぁ……」

 兵の体力は限界だった、。


 声を聞きつけ他の兵達が駆け寄る!

 蘇生と回復が行われ、回復した2人。


「すまんな……、結局お前たちの世話には迷惑をかけた」

 コジロウとノブユキは武人としてのプライドが傷ついたものの、それ以上に命を賭して自分たちを助けてくれた兵達への感謝の方が大きかった。


「もう帰りませんか?」

 兵が恐る恐る聞いた。


「そうだな、帰るか」


 2人は知らず知らずのうち笑っていた……。

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