城兵の誇り ②
死ぬ時は誰でも平気で死ぬ。それがW○Z……。
(まずい! まずイ! マズイ!!!!)
デアスは焦っていた!
城へ報告のあったグレーターデーモンの件も、相手が冒険者だったから実際はそこまででもないだろうと思っていた。
デアス自身、城の兵達と地下6階まで行った事はあったし、闘いもした。
正直、慢心が無かった。とは言えないだろう。
それでも、予想以上に……いや、想定外に今目の前にいるモンスターは強かった!!
ライオンは足に着いた汚れを舐め、綺麗にした。
そして満足すると、今度は緑色の霧を吐き出した!
メイジとプリーストに緑の霧がかかると、2人の身体は強烈な痒みに襲われた!!
全身を毒蟲が這いずり回るかの如く、想像を絶する様な息も出来ない程に全身を掻き毟りたくなる衝動に駆られた。
メイジとプリーストは詠唱に集中出来ず、途中で詠唱が途切れてしまう。
デアスは震える己の脚で地面を思いきり踏み、ありったけの想いでライオンへ襲い掛かった!!
先ほど自分が着けた傷と、同じ所を狙い剣を突き立てる。
ライオンは悲痛な雄たけびを上げ、前足でデアスを払った!
「――ガハッ!!」
壁に吹き飛ばされた衝撃がデアスの全身を襲う。
しかしデアスは怯む事無く、盾を拾い再び立ち向かう。
盾からは小手が焦げる匂いがした……。
ライオンの意識が他へいく最中デアスは空高くジャンプし、ライオンの背中へ剣を深々と突き刺した!
ライオンが痛みで暴れ狂い悶える。剣はライオンに刺さったままだ。
暴れた勢いで振り落とされたデアスは、何とか立ち上がり後衛2人に治癒呪文を掛けた。
2人の痒みは落ち着き、呪文を詠唱出来るまでに回復した。
「すまん、やられ過ぎた……」
意識も絶え絶えに、デアスは膝をつき辛うじて姿勢を保った。
プリーストが急いで駆け寄り、デアスに回復呪文を掛けた。
「悪いな……。後で彼等も頼む」
デアスは倒れている前衛2人を気にかけた。
回復もそこそこにデアスは立ち上がると、背中から血を流し眼が充血した獰猛なライオンと対峙した。
メイジの呪文がライオンの周囲から空気を奪い、ライオンを窒息させようとする。
ライオンは首を必死で振り、抵抗するもジワジワと酸欠になっていった。
呪文の効果が切れライオンが大きく息を吸った時、ライオンの背中には刺さった剣に手をかけるデアスの姿があった。
プリーストが強烈な光呪文でライオンの意識をそらす。
その隙にデアスは剣を掴み、全体重を掛けてライオンの背中を切り裂いた!!
「ガオオオァァァアア゛ア゛ア゛!!」
恐ろしい断末魔と共に双頭のライオンは地面に倒れ、おびただしい流血の中息絶えた……。
前衛2人の回復へ向かうプリースト。
デアスは戦闘後の余韻もそこそこに、潰れたメイジの元へ向かった。
デアスは懐から細い鎖に繋がれたアンクを取り出す。
両手で握りしめ、祈りを捧げると、メイジの死体は光に包まれ元の元気な姿へと変わっていった……。
「すまん、俺のせいで要らぬ犠牲を出してしまった」
デアスは己の未熟さを認め、仲間に頭を下げた。
「そ、そんな!我々が足を引っ張ったせいで!!」
兵たちが必死の形相で弁明する。
「デアス様。貴重なアンクを私の為に……。
なんとお礼を申し上げたら良いか……」
メイジが涙ながらに申し上げた。
メイジを生き返らせたアンクはデアスが隊長就任の折に国王から頂戴した蘇生アイテムである。
確実に生き返らせる効果があるが、回数制限があり僅かにしか使えない。
隊列を組み直し、倒れたライオンの先へ進む。
玄室の先は一方通行になっており、いつもの地下4階へ繋がっていた。
「ここまでか。 デアス隊!これより帰還する!」
メイジの脱出呪文でデアス隊は一足先に地上へ帰還した……。




