シスターリース
*いしのなかにいる*
* 冒険者は灰になりました *
「あ……」
またやってしまった。
本日3回目、通算1281人目だ。
「大丈夫!大丈夫!ちょっと祈って、ちょっと詠唱するだけだから!」
そんな甘い言葉に釣られて寺院のシスターになったは良いが、冒険者を生き返らせる仕事をさせられるなんて聞いてなかった。
しかも、私以外の人は逃げる様に居なくなり、今は私1人で頑張っている。
Lvの低い冒険者達は蘇生呪文を使えないので、必然的に寺院に頼ることになるのだが、最初はすがる様にお願いする癖に、灰になるとボロクソに文句を言ってくる。そりゃあ皆辞めるわけだ。
死んだ冒険者は灰になるともう後が無い。
もう一度失敗すれば完全にこの世から消え、消滅してしまうのだ。
大抵の冒険者は灰を持ち帰って確実な蘇生呪文を使える人を探すのだが、たまにその場でもう一度蘇生を頼む剛の者がいる……。
流石に冒険者を消滅させてしまった時は心が痛い。
目の前で泣く人も居るし、いきなり殴られた時もある。
そんな日は酒を飲んで忘れる事にしているが……
……何故私が辞めないのかって?
う~ん……一番の理由はお金かな。蘇生って結構儲かるわよ。
やっぱり金よね、お金♪
それに、私辞めたら寺院が無くなっちゃうから……。
「すみません。蘇生をお願いしたいのですが……」
ほら、早速来たわよ。どれどれ……。
あーあ、首が取れてるわ。きっとウサギにやられたのね。
「この方のLvだと1200Gのお布施を頂きます」
ほーら、迷ってる迷ってる。
この身なりだとシーフね。宝箱の罠解除くらいしか出番が無いから、
新しい人に変えるか蘇生するか微妙なところね……。
お、仲間のお金を集め出したわ。どうやら蘇生する気になったようね。
「では、一緒にお祈りください……」
厳かな雰囲気の中、集中する様に目を閉じた。
……ささやき ……詠唱 ……祈り ……蘇生!!
「ふぅ……」
今回は成功したわ。
……あれ? もしかして今日初めての成功?
ま、まぁ、そういう日もあるわよ!
そういう時しか無い日もあるけど……
あーあ、あんなに喜んじゃって……。もう来るんじゃないぞ。
……いや、またおいで。次も成功するか分からないけどね。
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