未探索地域の死闘 ③
リースの呪文で回復をし、立て直した4人。
しかし身体は癒えても心の傷は深かった……。
「あんなモンスターが3階にいたなんて……」
「ああ、俺の見当よりずっと事態は悪かった。
俺の軽率さで皆が死ぬところだった。すまん!」
リーダーが頭を下げた。
「リーダー。俺たちはあんたのおかげで大丈夫さ。
それよりこいつらをどうするかだな!」
エルが倒れる冒険者たちを顎で示した。
「脱出呪文を使えるのはエルだけだ。
まずエルが死体達を持ち帰る。
次にここへ転移する。
最後に俺達と脱出する。
これでどうだ?」
リーダーが全員の顔色を覗う。
「それしかねぇよなあ……」
頭を掻くエル。
死体達を近くまで引き寄せる。
(この石像乳でけぇな……)
少々?邪な気持ちを持ちながらも、
エルは脱出呪文を詠唱し、
辺り一面が眩しい光に包まれる。
「後は待つだけだな……」
「何事も無ければ良いけどね」
「オイラこの先が気になるな~」
フェリーが指差した先には扉が有り、
好奇心が彼らの心を掴む。
しばらく待った彼らの元へ、
エルが何食わぬ顔で戻ってきた。
「待たせたな。大丈夫だったか?」
リーダー達は一応に先の扉を示した。
「一度帰って作戦を練ろう。
大した物も無かったから、
バリテルから報酬をしこたま
貰わないと割に合わないな」
リーダー達はエルの脱出呪文でダンジョンを後にした……。
寺院で蘇生を終えたバリテル達。
事の顛末をリーダー達から聞く。
「そうか、あの悪魔はそんなに
強かったのか!
互角に戦った俺様は凄いな!!」
「フェリー、こいつの首を刎ねてくれ」
リーダーが笑顔で言った。
慌てるバリテルを見て、リーダーはため息をついた。
「蘇生代と救出代とで…………
しめて25800Gよ!
助かったんだから安いもんでしょ♪」
リースが最高の笑顔で請求書をなびかせた。
「分かった……分割で頼むよ……」
ガックリと肩を落とし、仲間に慰められながら
バリテルは帰って行った……。
「じゃあ俺達も飲みに行くか!」
エルがリーダーの方を見て
にこやかに酒場を指差した。
「まずは今日の反省会からな」
4人はいつもの酒場へと歩き出した。