未探索区域の死闘 ①
オッス! 俺はバリテル。
もうすぐ死にそうなエリートロードだ!
早速だが、俺の愉快な仲間を紹介するぜ!
パーティ1イケメンの戦士マゼル(死)
歌は下手だが口説き上手なバードのリュート(死)
乳のデカさはこの街No.1!プリーストのエルザ(石)
手癖の悪さで前科30犯!シーフのザナトゥ(死)
そしてハゲヒゲデブの良い所無し。マイジのオイゲン(逃走)
はっはっは!死屍累々だな〜。
待ってろ皆俺もすぐ逝くぜ――
「で? この先がまだあるって訳だな……」
リーダーは地下1階の未探索地域にある落とし穴を覗いていた。
「あんまり気乗りしねぇなあ〜」
頭を掻きながらエルが来た事を軽く後悔していた。
「分かった、分かった。
今日は俺の奢りだ!!」
リーダーがいつものカードを切る。
「へへ、そう来ないとな♪」
酒がやる気のバロメーター。非常にわかりやすい奴だ……。
* おっとっと シュート! *
4人が落とし穴へ落ちると、すぐさま状況確認を始めた。
「マップ、呪文、どうだ!?」
リーダーがいつもの指揮を執る。
「地下2階、東よ。北へ進む形ね。呪文も問題無いわ」
その言葉に少し安心するリーダー。
ダンジョンに置いて呪文が使えるか否かは
生死に大きく関わるからだ。
例え2階でもいつもと同じモンスターが出るとは限らない。
冒険者は常に罠やモンスターの熱い歓迎に応え、
知恵と勇気を振り絞り生き延びなくてはならない。
何故ならこのダンジョンにおいて、
冒険者は皆侵入者なのだから……。
リーダー達は北へ進路を取る。
真新しい血痕やモンスターの死体、戦闘跡を追い慎重に歩みを進めた。
そして道が2手に分かれた。
「オッサンの話だと右だな。そしてまた落とし穴があると……」
リーダーは道の奥から漂う気配や臭いを探る…………
どうやらバリテル達が倒したおかげで、
ここらにはモンスターは居ない様だ。
道を右へ進み、少ししたところでまた落とし穴が見える。
「ここから先は前情報無し、本当の意味で未探索地域だ」
各々が心の準備を済ませたところで、落とし穴へ落ちて行った……。