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新人研修 ②

 気を取り直して探索を再開するハリー達。


 地下1階はスライムとスケルトンがメインだ。

 そう簡単に死にはしない。


「へへ、お次は何が起きるかな……」

 引き続き尾行を開始するエル。


「なぁ、エル。そろそろ帰らないか?」

 しかしリーダーが難色を示した。単純に飽きてきたというのもあるが、生死を賭けて探索する冒険者を 楽しみ目的で追跡するのはあまり気乗りがしなかったのだ。


「そうだな、付き合わせてすまん」

 エルが冷静になり、踵を返した。

 しかし、リーダーの顔付きが一変した。


「すまん、帰るのは後だ――」

 リーダーが足早にダンジョンの奥へと進む。


「お、おい!リーダー?」

 リーダーの急変に戸惑うエル。仕方なくリーダーの後を追った。


「スケルトン5体だ。彼らにはちと荷が重い!」

「……なんだ、やっぱり気になるのか」

 エルが含み笑いでリーダーの後に続く。


 リーダーとエルが戦闘音のする小部屋へ突入すると、ハリーがスケルトン3体からコットンを守っていた。

 すぐ隣ではニーナが呪文を唱え、エレナが眠るスケルトンをメイスで殴っていた。


「おお!やってるやってる!」

 リーダー達の突然の登場に、ハリー達はとても驚いた。


「ああっ!! エルさんだ!」

 呪文の詠唱を終えたニーナがエルを指差し大きな口を開けた。


「ふふん!俺様有名人……」

 ふんぞり返るエル。


「良い所に!! リーダーさん助けて下さい!!」

 スケルトンの攻撃を大剣で受け止めながら、ハリーはこちらを見て応援を要請した。


「俺も有名人だな……」

 同じくふんぞり返るリーダー。



「俺らはここで見てるから、死にそうになったら手を貸すよ」

 壁にもたれ掛るエル。


「おいおい、俺らも攻撃されるから早い所始末しよう」

 リーダーが腰の短剣でスケルトンを手早く2体始末した。


「助かります!!」

 ハリーがリーダーに会釈し、残りのスケルトンと対峙する。

「おわっだ……」

 エレナが眠っていたスケルトンの粉砕が終わった様だ。

 奥には粉々になっているスケルトンが2体。


「この!!」

 最後の力を振り絞り、ハリーはスケルトンに大剣をぶち当てた。



 戦闘が終わり、疲労のあまりハリーはその場に座り込んでしまった。

「す、すみません。助かりました……」


「まだ気を抜くな!!」

 リーダーの一声が小部屋中に響いた……。


「生きて帰るまでが探索だ。まだ気を抜くんじゃない……」

 リーダーの言葉が痛い程身に染みるハリー。

 彼は己の非力さを先ほどの戦闘で痛感していた。


「宝箱あったよ〜」

 ニーナが鉄の小箱を持ってきた。


「わての出番――」

「ダメだ! 触るな!!」

 今度はハリーの大声が響いた。


「もうコットンの回復も切れた。今この状況で触るのは命に関わる」

「でも初めての鉄箱だよ?」

 諦めのつかないニーナ。


「ダメだ……リーダー命令だ。その箱は捨てていく」

 起き上がり、リーダーの顔を見るハリー。


「そうだな。リーダーたる者引き際が重要だ」

 リーダーがニコリと笑う。


「どれ、しゃあねえなぁ……」

 エルが呪文を詠唱し、辺りは光に包まれた。

 気が付くと全員がダンジョンの外へと出ていた……。




 ダンジョンの外へ出ると緊張が切れ、一同の身体は疲弊を感じ始めた。


「今日の夜 空いてるか?」

 リーダーがエルにグラスを持つ仕草を見せた。

「おっ、いいねぇ〜。俺も同じこと考えてた」

 エルも飲む気満々の様だった……。 

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