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2.鬼と龍

目の前には巨大なクレーターがいくつも出来上がっていた。今も少し岩が溶けていて熱が伝わってくる。俺達のいた居城からの距離は大体200キロ程度なんだけど、ここまで走って有した時間は10分と少しだ。人形態にもかかわらず馬鹿な身体能力だと思わざるおえないな....


「つい今しがたまで何者かと戦闘を繰り広げていたのでしょうね...ただ、魔力は一人分しか感じなかったはずなのですが、この跡を見る限り魔法戦闘が繰り広げてられていたように思えますね。」


ふん...確かに俺にも一人分しか感じなかったな。もっとも、魔力は、の話ではあるが.....この世界が俺の描いていた世界であることは大体合っている。まぁ多少の変化や誤差はあるだろうけど今、目の前にある光景についての説明は知っていれば簡単だ。


顎に手を添えながらレティシアに説明する。


「闘気...いやその上位の覇気といったところだな。おそらくだが、魔力と覇気が互いに相殺され続けてこうなったのだろう。ただ一つ問題なのは私や君の使う龍闘気とほぼ同程度の威力を誇っていることだな....なんにしてももう少し辺りを回ってみよう。私は.....うん?どうかしたか?」


なんで、さっきから妙にうっとりとした顔でずっと俺のことを見てくるのだろう?まぁ悪い気はしないけどな!


「す、すみません。まだまだ私には知らないことがあるのだと思うと嬉しくて...それを貴方に教えていただくと思うとその....と、とにかく散策ですね⁉︎」


急に顔を赤らめてどうしたんだ?などどいう鈍感系ハーレムな野郎ではない俺にはちゃんと分かっているからな?ふふふ....おうつ....気を抜くと口元が緩みそうになる。今は真面目な話の最中だ!しっかりしろ28歳独身...............


「あぁ、私は西を貴女は東を観てきてくれるか?それと、合流場所はここにするとしよう。何かあったら念話を使ってくれればすぐにそちらに向かう。私の場合も同様に頼む。」


彼女が真剣な表情で頷くのを確認した後に互いに別れた。まぁ結果だけいうと、今しがた生存者を一人だけ見つけたんだけど、かなりの重症のようで全身の約8割程度灼け爛れ、腕は完全に炭化している。恐らく顔を腕を犠牲に庇ったのだろう。でなければ今の彼女の腕のようになったのは頭だったろうからな...骨格からしておそらくは女性だろうと分かるくらいで、ツノは....生えてるな、よし!


「今から君を魔法で治療するから、反魔法で抵抗しないように頼むぞ?」


あまりにもひどい状態の彼女だが、しっかりとした意思がその瞳にはあった。私の声に小さくも頷き応えた彼女にこの世界でおそらくは俺しか使えない魔法(龍闘魔法)の中でもかなり強力な部類の回復魔法を使う。・・・たちまちに灼け爛れた皮膚にハリのある肌が戻り、全て燃えていた髪も元に戻った完全な姿を取り戻した。


そのことに目を見張る目の前の女性は今のがただの魔法でないことを理解しているようだった。それはそうと、さっきからやたらオロオロしている。まぁそうなるのも仕方ない。だって裸だしな!なかなかいいものをお持ちになさっているようで、二つのメロンの先が両腕で抱えてやっと隠されている。...マジでデカイなおい!まぁ俺よりは小柄だけど、身体も180センチ位あるんだよな....それにしてもデカイです!ありがとうございます!

素晴らしい景色を十分に眺めたところでそっと布を空間から取り出して彼女に放る。

それを身体に巻きつけた彼女は若干涙目ではあるもののお礼はしっかりと言ってきた辺りポイント高い。こちらこそありがとう!まぁそれはおいといて、


さっきの魔法は肉体の時間を操作して回復させるものだった。回復魔法とはいっているが、時間操作系統の魔法を肉体に強い親和性を持つ闘気、中でも最上位の龍闘気で半ば無理やり時間操作を肉体のみに作用させたものだからな。これを使うには魔法や闘気の仕組みを理解していなくてはならない。そしてこの魔法は記憶や魂の時間は巻き戻らないという利点が最も大きい。この世界で一般的な回復魔法の仕組みは単純で元の治癒力を活性化させて高めるというものだ。つまりあまりに酷い傷や部位欠損は完全に治せない。ただし、いくら俺の龍闘魔法が常識を超えた回復力を与えると言っても死んだ者はどうしようもない。理由はこんはくが乖離した状態にあるために力を使ったところで肉体しか再生しない。つまり魂が抜け落ちているが、心臓は動いている状態になる。これでは蘇生と言えない。


そして、何故俺しかこの魔法が使えないかというと、これまた理由は単純だ。今のこの世界において魔法はともかく、闘気についてはほとんど理解されておらず、闘気による肉体強化を魔法の身体強化とかんじがいしている者も少なくないからだ。実際闘気は魔法よりも奥が深い。理由としては、魔法は魔力を媒体に現象を引き起こすものだ。しかし闘気には種類がいくつかあり、下から【闘気・覇気・竜気・龍闘気・神気】の順に強力だ。さらに、《放出系》《感知系》それからさっき挙げた肉体に作用する《強化系》に操作方法が分かれ、使い手によって得て不得手が顕著に現れる。まぁ最たる理由は研究熱心な魔法使いで闘気を持ち合わせている者があまりに少なく、中途半端なコントロールだと魔力と闘気がぶつかり合って戦闘などでは全く使い物にならないからだ。ちなみに余談だが、神気を使えるものは高位の神性を有していなければならずつかえる存在は神くらいにならないと無理だ。よって、事実上【龍闘気】が最も強力な闘気となるわけだ。


「それにしても見違えたな。先はあまりにひどい有り様ゆえよく分からなかったが、傷を残すことなく癒せて良かったよ。」


本当に良かった。白い髪の毛先の方が薄い桃色の長い髪で白い肌とよく合ってる。紫紺の瞳の女性だ。見た目の印象は美人よりの可愛い感じかな?年は17,8くらいに見える。それより彼女がさっきから顔をうつ向けているのだが、さっき俺が彼女に微笑みかけたのが不味かったのか?顔が引きつっていたとか?....ダメだなぁ...俺


独りでに落ち込んでいると


「あ、あの!ほんとうにありがとうございました!おかげさまで全回復です。....その、失礼かもしれませんが、さっきの魔法はなんだったんでござりましょうでご、ござい.....すみません.....丁寧な話し方に慣れてなくて。」


「まぁそう驚くことはない。それに普段通りの話し方で構わない。今のは気づいているだろうが、君たちの知っている回復魔法ではないからこういうこともできるのだ。」


「あ、うん。ありがとう。それには気づいていたんだけどね〜でも、正直な話僕の知る回復魔法にはこんなことできっこないってことくらいしか分からないよ....」


「ははは!君は素直なのだな。魔法使いとは大概にして自身の無知を隠そうとするものとばかり思っていたのだがね。とてもいいことだ。」


「あ〜うん。それは大体合ってるよ。僕の師匠なんかも自分が間違っても威張り散らしたり、話を逸らしたりして結局認めようとしないんだ〜まして、自分の知らないことを他の誰かに見せつけられたら憤死しちゃうんじゃないかな?」


首を傾げながら冗談交じりに言う彼女からは伝わってこないが、きっと苦労したのだろう。あの魔力の持ち主であったならば魔法使いにとっては喉から手が出る程に欲しいものだろうからな。嫉妬の目が多かったに違いない。まぁ俺もなんやかんやで嫉妬のような目で見られたことも無きにしも非ずだったけど、それと比べるのは失礼だろう。


「....あ〜なんだ。腹が減っているのではないか?もしそうなら何か適当に出してやれるが。」


「えっ、いいの⁉︎いや〜実はさっきからお腹が鳴らないか心配だったんだ〜ありがたくいただきます!」


両手でお腹を押さえながら、屈託のない笑顔でそう答えた彼女に思わず心が惹かれてしまいそうになる自分をおそらくだがこの体の元々の持ちアレスの精神が邪魔をする。これはアレスと俺の精神や記憶が混ざり合った状態ゆえに起こる現象だ。といっても俺がこの体と精神の主導権を握っている為アレスの精神が何をしようとほとんど影響はないのだが、今のは助かった!

我ながら自分のチョロさに驚いた...しかし!俺にはレティシアがいるのだ!そう、まだ彼女レティシアの気持ちを確認した訳ではないが恐らく、多分、きっと.....いい感じなはずなんだよなぁ〜というわけでありがとう!アレスよ。君のことは忘れない!

冗談はさておき、鬼族の好物ってなんなんだ?俺が書いていた小説の中じゃ鬼族はよく肉を食べていたはずだ。その中で一番好みの肉は確か人間だったよな?....う〜ん。さすがに人肉はないから羊の肉でも出して軽く料理でもするかね?


「とりあえず羊の肉を使って何か作ろうと思うのだがリクエストはあるか?野菜や果物、あとは干し肉なんかだとすぐに食べられると思うが...」


「あ、あの....僕はあまり肉が好きじゃないからできれば果物がほしいかなぁ。あ、でもそれだと君の手料理が食べられないのかな?う〜ん....」


「あ、君って言っちゃったのが悪かった?ごめんね。年下だと思ってつい....そ、そういえば自己紹介もまだだったね!僕の名前は花蓮かれん君の名前は?」


どうやら俺は納得いかない顔をしていたらしい。別に気にしてないんだけどなぁ...心はいつでも少年さ!それはさておき


「そうだな、私はアレスという。よろしく頼む。それから私はこれでも100を越えて生きているゆえ君、いや、花蓮殿と呼んだ方がいいか?まぁなんだ、多分私の方が歳だけなら上だと思うぞ?」


「えっ⁉︎....うそ!だって見た感じ24,5くらいだよ?鬼族や精霊種エルフでもなさそうだし...うーん。もしかして僕を治してくれた魔法と関係があったりするのかなぁ?あ、それと僕のことは『花蓮』って読んでくれると嬉しいな。」


おぉ!なかなかいいところに目をつけるな。答えはまぁ間違っているんだが、俺の使った魔法が時間操作系のものであることをなんとなく察しているようだな。


「私は人ではないから歳のとりかたが違うのだよ。私の種族は龍だからな。そもそも老化とは無縁だ。」


ふふ、どうやら驚いてくれたようだな。まぁ普通の龍では人間のような姿にはなれないからな。それから龍闘魔法についてこの後のことを考えると今は伏せておこう。なんだか彼女ならちょっとした説明だけで習得しそうだからなぁ...まぁ龍闘気は龍種しか使えないんだけど、覇気くらいは使えるようにはなるだろうからな...


「う〜ん、でも人の姿になれる龍がいるなんて話聞いたことないよ?あ、でも師匠が僕の小さかった頃に読んでくれた『おとぎ話』の中に龍の王様にエルフの女王が恋をした話しなら聞いたことがあるけど....でもあの話では龍の王様が強すぎて信憑性低いんだよね〜話は面白いんだけど。」


あ〜それ俺のことですわ!信憑性低いってなんなんだ?事実です!えぇ事実ですとも!お前がやったんじゃないだろって?ハッ!今やアレスと俺は一心同体。

つまりアレスのやったことは俺のこと。俺のやったことは俺のことだ!うん?どっかで似たようなセリフを聞いたって?カンヂガイじゃないかな〜【棒読み】


「すまない。その話をしてくれたという師匠とやらの名はなんというのだ?」


「えっ?あ〜うん。師匠の名前はエレシア・ホメルス・エヴァグリーンだよ。長いでしょ?なんでか聞いたら秘密だって教えてくれなかったんだよ....」


そうか....なんとなく想像してたけど、エレアか...久しく会っていないな。アレスの心に引かれているのだろう。なんだか無性に切なくなる。元気にしてるといいんだけどなぁ


「花蓮、君はエヴァグリーンと聞いてなにも思わなかったのかい?」


「うん。僕は10歳の頃から師匠のお世話になってるから師匠が教えてくれたことや隠れ家にある蔵書を漁ったくらいの知識しかないんだ...だから知識の偏りが目立つんだよ。とくにエルフの知識は全くないね!」


「そ、そうか...ま、まぁそこまではっきり知らないと言われてはどうしようもないな。さて、そろそろ私の連れ合いと合流するか...」


グ〜〜〜

あ、何か忘れてると思ったら食べる物を渡してなかったわ!あっはっはっ....


「すまない。少し忘れていた。」


そう言って空間から林檎をいくつか出して彼女に差し出す。


「うぅ〜酷いよ忘れてたなんてさ...でもありがとう!そういえば師匠も林檎が好きだったなぁ」


「どうした?師匠が恋しくなったのか?」


そういうとしばらく考えからやはり自分は師匠と会えないのが少し寂しいらしいことを話した。


「きっとなんだかんだでいい者だったのだな。私も機会があれば会ってみたいものだ。」


「ねぇ...もしかして師匠のこと知ってるの?」


「うぇ⁉︎あ?....いや待て何故そのように思うのだ?」


いかん!ついビックリしてしまったじゃないか!バレてるよ‼︎まぁバレたとこでって話したけど...


「なんか寂しそうな顔してたからなんとなく....まぁ詳しいことは聞かないでいてあげるよ!」


「そうか?すまないな。いや、ありがとうだな」


彼女に微笑みかけ次の話に移る


「では行くか。すまないが君には着いてきてもらうぞ?」


「え、あぁ...うん大丈夫。着いて行くよ。」

花蓮は二本角です。余談ですが、鬼族は闘気を使った戦いが得意です。その代わりに魔力が全くありません。それが関係するかのように鬼族で闘気しか持たない者は皆一本角となっています。

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