7.勇者に興味を持った騎士団長な娘が旅に同行する事になったようです
あれから約2週間、修練が続いた。
もちろんだが、毎日が地獄のようだった。
それに着いていけた俺自身が怖いくらいだ。
言うなれば、無茶苦茶疲れた。
1週間たった頃にはちょっとヤンでたし。
その都度、セリカに慰めてもらった記憶が新しい。
ただ、結果的に結構強くなった。
強くなったはいいけど、その代わり精神的に弱くなった。
正直、外に出たくない。
そんな俺を連れ出したのがセリカだった。
それが、この2週間だっった。
セリカに慰められながらも修練場に、俺はやって来た。
そして場内に入るといつもの様にイリスが待っている。
「ゼロ殿。今日も早速修練を………と、言いたいところだが」
しかし、いつもなら早速修練をと言うはずのイリスの口から、違う言葉が出て来た。
「私が知る限りのことは、もう教えてしまったのだ」
「…………そうなのか?」
「残念ながら、言葉どおりだ。そこでなのだが、私を旅に同行させてくれはしないだろうか」
予想の斜め上の言葉が出て来た。
「団長!お言葉ですが、それはなりませんっ!」
そう、言葉を投げて来たのは、一人の衛兵だった。
というか、なんか置いてきぼりにされている気がする。
「何故だ、発言を許す」
「団長がいなくなってしまったら、我々は誰の指示に従えば良いのでしょうか!」
衛兵の言い分に俺は賛成だった。
確かにその通りだし、仮について来たら修練だ!なんて言うだろうし、ぶっちゃけ嫌だ。
「国王に従えば良いだろう。あの方は中々の策略家だ。きっと私より良い指示を出してくれるだろう」
結局国王だった。
確かに国王は良い人だ。実際に魔王討伐を断れなかったし。
ただ、こんなにもあからさまな丸投げを見ると可哀想になってくる。
というか、全員納得してるし。
凄過ぎるだろ、あの国王。
「確かにそうですね………。失礼致しました、団長」
「それで、ゼロ殿。どうしますか?」
とても困った事になった。
戦力としてはとても嬉しい。
ただし、それ以外と言われると………困るな。
なんだか、すぐに修練って言ってきそうだし。
ここは、セリカに意見をもらおう。
「セリカはどう思う?」
「そうですね、勇者の体質を考えると戦力が増えることは良いですね」
結果的にダメだった。
というか、勇者の体質忘れてた。
修練は嫌だけど、しょうがないか…………。
「分かった。但し、死んだら承知しないからな」
「埋葬してくれるというなら、それは既に心得ている。我、イリステラ・アイシア・エルメテシアは御身の剣となり、共に戦うことを誓う。これからよろしく頼む、ゼロ殿」
「ああ、よろしく頼む」
そして、王国の騎士団長がパーティーに入った。
………イリス曰く、俺たちについて行くことを決めたのは昨日の夜らしい。
そのせいか、既に荷物がまとめられていた。
そのついでで昨日の夜、国王に騎士団を頼むという報せを送ったらしい。
それで、朝早くに報せが来て、そこにOKと長ったらしく書いてあったらしい。
そして俺たちは、イリスを連れて宿に戻ってきていた。
「お帰りなさいませ。今日は随分とお早いですね。それと、そのお方は………」
「お初にお目にかかる。私の名はイリス。イリステラ・アイシア・エルメテシア。今日からゼロ殿の仲間になったものだ。よろしく頼む」
「ご丁寧にどうも。私はトモエ。国王様からのご命令で、ゼロ様達に同行しているメイドです。どうぞ、お見知り置きを」
どうやら、自己紹介は済んだらしい。
「ところでなのだがゼロ殿」
「なんだ、イリス」
「ゼロ殿の仲間は、女性ばかりではないか。まさか…………節操無しなのか?」
とてつもないことを聞かれた。
確かに、今のところ俺のパーティーは女性ばっかりだし、こう言われても仕方がない。
まあ、弁解はするけど。
「そういうわけじゃないからな。セリカは聖女だし、トモエはあくまで従者だ。そもそもこれで魔王討伐の旅に出発させたのは国王だし。俺は節操無しじゃないからな」
「そうか。つかぬ事を聞いてすまなかった」
どうやら、納得してもらえたようだ。
この後イリスに勇者の体質の事を伝え、余程の時以外は戦闘に参加できないという事を承諾してもらった。
そして、そんな1日が終わった。
こんにちは、澪です。
今回はなかなか早く書きあがったので、早めに投稿することができました。
連載2つもやってると頭が回らなくなる。
ちなみに、もう一つの方は東方Projectの二次創作です。
というわけで、次回をお楽しみに。