4.この世界における勇者の現実を確認しました
ほぼ言われるがままに魔王討伐の旅に出た俺たちは、城下町を出てしばらく行ったところにある森の中にいた。
「そういえばゼロ様」
「なんだ?」
「伝え忘れていたことがありましたので、今伝えますね。勇者の能力のことなんですが……」
「それがどうかしたのか?」
そう言ってみた。
「ええと、ちょっと言いにくいことなんですけども……言ってよろしいでしょうか?」
「大丈夫だ、話してみろ。後々後悔したくないしな」
そんなに言いにくいことなのか?と思いながらそう返した。
「そうですか。実は勇者というのは、生まれつきにとても強大な魔力と戦闘能力を有しています。しかしながらその代償として……」
代償か。変なものじゃないといいんだけどな。
「その代償としてモンスターと戦闘を行うと能力が微力ながら下がるみたいなんです」
そう言われて俺は硬直した。
mobと戦ったら少しだけ自分のステータスが下がるだとっ!予想の斜め上を行きやがった!
「とは言っても、これは1代前の勇者の旅に同行した私の叔母様が言っていたことなんですけどね。でも叔母様は嘘をついたことはありませんし、おそらく本当のことなんでしょう」
その言葉に俺は戦慄した。
マジかよ!本当のことなのかよ!残念すぎるだろ!そんなのただの呪いじゃねえかよ!俺の期待を返せ!
「だから叔母様曰く、1代前の勇者様は大抵の敵は仲間に任せていたようです」
そんなことを言われた時には既に、俺の理想は粉々に砕け散っていた。
頼むからそれ以上言わないでくれっ!俺のメンタルは今スライムなんだ!LPはゼロなんだ!
「大丈夫ですか、ゼロ様」
「………全然大丈夫じゃないよ。畜生、俺のささやかな理想を返してくれ」
「………なんというか………すいません、ゼロ様」
そう言われてからもしばらくの間、俺はその現実を受け入れられなかった。
それからしばらくして、なんとか立ち直った俺はセリカと今後のことを話していた。
「俺としてはまずは街に行きたいな」
「そうですね。できるならば、なるべく大きな街を拠点にして活動したいですからね」
「後は戦闘のことだな」
「そうですね。前勇者様の主なお仕事は、魔王の封印の意地でしたから、それなりに戦闘はしていたようです。でも、ゼロ様の場合は魔王討伐ですから、なるべく戦闘はお控えになったほうがいいと思います」
その意見が最もだった。
でもなるべくなら戦闘に慣れておきたかった。
それをセリカに話すと……
「それなら、前勇者様と旅をしていた方達に会いに行きましょう」
そう言われた。
そんな訳で、今は前勇者の仲間の中で剣術に優れた人がいる街『剣都エルメテシア』に向かっている。
セリカ曰く、今は騎士団の師範をしているらしい。
冒険の前に、その人から剣術を学ぶことに決めた。
こんにちは、澪です。流石に弱体化を徐々に食らう設定は自分で書いてて泣きたくなりました。
自分も一応ゲーマーなんで、弱体化は御免ですねwww
それではまた次回に。




