3.そんなことで勇者な俺はやんなごとき旅に出る事になりました
国民の前で魔王討伐宣言をしてしまった俺は、言われるがままに装備を整え、いつのまにか旅支度が終わっていた。
なんだか優しい国王って怖い、そう実感していました。
でも、本当はやりたくないなんて今から言えない。
そんなこと言ったらあとあと何言われるかわかんないし。
そうやって、自分に言い聞かせていました。
「ゼロ殿、少しいいかね」
そうやって国王は言ってきました。
「はい、何ですか?」
「実はだなまだ公表していないが、聖女様を同行させようと思っている」
そんな事だろうとは思ってはいたが、まさか本当になるとは思わなかった。
「本当なんですか?もし仮に本当だとして、この国は大丈夫なんですか?」
「本当のことだぞ。それにこの国は大丈夫だ」
この人が言うと無駄に説得力がある。
まあこの人が大丈夫だと言うんだったら大丈夫なんだろう、多分。
……そして旅立ちの日がやってきた。
とは言っても、召喚されてから1週間が経っていた。
少し遅くないかと国王に言ってみたが、これでも急いで準備したと言っていた。
「お久しぶりです、ゼロ様。とは言っても1週間ぶりでしょうか。今日からよろしくお願いします」
俺の隣に来た聖女……あらためセリカはそう言ってきた。
ただそれは良かったのだが……彼女の隣にいるメイドさんには見覚えがなかった。
「初めまして、ゼロ様。この旅で御身と聖女様の身の回りのお世話を致します、トモエと申します。これからよろしくお願いいたします、お二方」
なるほど、そういうことか。
つまりは俺とセリカの世話をあの国王が命じたわけか。
「あっ、自分の身は自分で守りますので安心してください」
それを聞いてホッとした。
戦えないんだったらこの人まで守ることになることを踏んで選択したんだろう。
『皆の衆、今日、勇者殿は旅立たれる。勇者一行の無事を祈り私とともに見送ろう』
「それではゼロ様、参りましょう」
そう、セリカが言ってきた。
そして俺たちの旅がやっと始まった。
どうも澪です。
月の中頃に投稿しようと思いましたが遅れてしまいました。
ちなみにタイトル詐欺はしていません。
次話で回収しようと思っています。
それでは次話でまたお会いしましょう。