2.何の覚えもなく召喚された俺は国王に謁見することにしました
とりあえず話だけ聞くことに決めた俺は、王室へと案内された。
ただ、異世界に来たという実感がなかった。
「勇者様っ!ご到着なられました!」
ついでで言うならば、俺に勇者になるつもりはない。
ただ、話を聞くだけだ。
そう思い、王室へと入室した。
「よくぞ異世界より参ったな、勇者の転生者よ。しかし、突然このようなことをして申し訳ない」
どうやら、威厳もありつつ、判断力のある人ようだ。
まあ、どうでもいいが。
「それで、なんで召喚されたのか教えてもらってもいいですか。こっちとしては早く帰りたいんですけど」
失礼かもしれないが、そういってやった。
俺としては早く帰りたい。
「確かにそうであるな。勇者の誕生から話したいところだが………今は時間がない。簡単に言うのであれば、御身に魔王討伐を依頼したい」
思った通りのことだった。
そもそも、さっきの聖女の話からしてもそれぐらいしか考えられないし。
「もし、断ると言ったら」
とりあえずそうやって言ってみた。
「その時はしょうがないと思っている、ただ出来るのであれば魔王を討伐してほしい」
とてつもなくいい人だった。
普通だったら強引にでも行ってもらうとか言われるのに、そんな言葉すら出てこなかった。
………………なんでだろう。いい人過ぎて断れない。
「…………分かりました。俺が行きます」
こんないい国王を持ってこの国の人は幸せなんだろうなと思いながら、俺は魔王討伐に行く決意をしました。
その次の日、俺は朝から国王に呼び出されました。
――――――なんなんだ、こんな朝っぱらから。
そう思いながら王室に入室しました。
「こんな朝早くに呼び出してすまない。儂についてきてくれ」
そう言われ、国王について行くと…………演説塔のような場所に着きました。
「………いったい何をするんですか?」
「聞いていれば分かる」
そう言いながら、目の前にいる民衆に語り始めました。
『民衆よ、こんな朝早くに良く集まってくれた。そのことに感謝する』
考えていたとおり、この王は人望が厚いらしい。
『今回、集まってもらった理由は魔王討伐についてのことだ』
そう言うと、民衆がざわめき始めた。
『つい昨日、勇者の転生者を異世界より召喚し、魔王討伐を承諾してくれた。皆の者、もう魔王に怯えることはないぞ』
おいおいそんなこと言っちゃあダメだよ。
それじゃあ俺が本当の意味で魔王討伐の旅に出る事になるじゃないか。
そんなのは御免だぞ。
しかし現実とは残酷なもので、国民達は歓声をあげた。
「さあ、勇者殿、名を名乗りなさいませ」
もうやけくそになって叫んでいた。
「俺の名はゼロ。ゼロ・アスタロトだ」
とりあえず適当に名乗ってみた。
ちなみにゼロというのはゲームネームだったりする。
ああやっちまったなぁ。これで帰れなくなっちまった。
『それでは勇者の帰還を祝おうではないかっ!』
………そして本当に魔王討伐の旅に行く事になりました。
どうも、月一投稿の澪です。
なんか国王を優しくしすぎた気がします。
次回をお楽しみに!
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