中学一年の私。
私は、おじいちゃん、おばあちゃんの家で暮らしてる。理由は四年前に交通事故でお父さんとお母さんが死んじゃったから……。
おじいちゃんとおばあちゃんは今まで怒ったことなんて一度もなくてすごい優しくしてくれる。お父さんとお母さんがいなくなった悲しさはなくならないけどあの時より気持ちは楽になった。
中学一年になってクラスの子達とも仲良くなり始めた頃、クラスの女の子達の話声が聞こえてしまった。
「西野さんってさ、お父さんとお母さんいないんだってー」
なんでそのことを知ってるの? 話をした女の子の言葉を聞いて私が最初に思ったこと。私は少し考え、小学校の頃の同級生がばらしたのだと考えた。
心にぽっかりあいてしまった穴。元には戻らない、戻せない悲しい過去の出来事。私はその話を他人にしてほしくはないし、その話が人づてに回っていくなんてもっと嫌だ。私の目には話をした女の子の顔が嬉しそうに見えた。
「えっそうなの? なんで?」
話を聞いた隣の子も興味が沸いて好奇心をそそられた、そんな顔に見えた。
「事故で死んじゃったんだって」
「嘘、マジ? 西野さんかわいそー」
へどがでる。全く可哀想だとも思っていない声。私にはそう聞こえた。あの子達からみれば私のことなんて他人事。それはそうだ……。でも私はあの子達を許したくない。私は面白半分でコソコソ話しているあの子達にムカついた、ムカつくというよりも憎しみに近い感情が芽生えた。
あの話を聞いて数日後、クラスの子達の私を見る目が変わったような気がした。気のせいかもしれないけど噂話は広まるもの。多分私のことはクラス内に広まったんだ、私はそう思った。
次の日、私は学校を休んだ。学校に行くのが嫌になった。クラスの子達に見られるのが嫌になった。クラスの子達が何か喋っているとその話は私の話をしているんじゃないかって思うようにもなった。私は人間不信になったのかもしれない。そしてその次の日から私は学校に行くのを辞めた。
おじいちゃんとおばあちゃんは私が学校に行かなくても怒ることはなかった。そんな私にもいつも通り優しくしてくれた……。でもその優しさが私には辛かった。死んじゃったお父さんとお母さんならきっと怒ってくれるんだろうなって思ったら涙が流れ出してしばらくの間、涙は止まらなかった。それから私は一歩も外に出なくなった。
これが中学一年の時の私。