ゴミ捨て場からの恐怖
毎度のようにゴミは出る。なので収集日にはゴミ出しに行かなくてはならない。
今日はゴミ出しの日だ。
朝から蒸し暑く、でもパラパラと雨が降っていた。
「ハァー、なんで雨なんだ?せめて曇りだろ。」とつぶやいていた。
僕はため息をつきながら集積場へとゴミを持って行った。
その時幾つかのゴミの中に明らかに住民が出したのではないような黒色のビニール袋を見つけた。それも1つではない。
何か生臭いような匂いもする。
僕はゴクリと唾を飲み込んだ。
嫌な予感がしたのだ。
見てはいけない何かかもしれない。
それでも好奇心に負けてしまい結び目を解き始めた。異臭が強くなる。
そこで見たものは…気味の悪いものだった。
人形だ。しかもバラバラの。
一部だけ見れば死体と勘違いしそうだ。
「何なんだ?コレ?」その時気がついた。底の方がベチャッとしていることに…。恐る恐る手を入れようとした時、同じ様にゴミ出しをしに来た住人に見られた。
「おはようございます。…どうかされましたか?」「おはようございます。いゃあね、このゴミ、だれが出したのか気になりましてね。ちょっとゴミ漁りをしていたところなんですよ。」「ウプッ、くっさいですね〜。何なんですか?それ。」「私もわからないんですよ。人形がバラバラに入ってたことくらいかな?」「それ…本当に人形でしたか?」「そう見えましたが…。」
そう言ってゴソゴソとゴミ袋の中を漁り、腕と思しきものを取り出した。すると臭いもきつくなる。暑さも手伝って臭いがきつくなった様だ。で、よく見てみると…本物だった。
思わず落としてしまった。
「ヒ、ヒィー…!」
住人は逃げ出してしまった。私も逃げたかったが、とにかく警察を呼んだ。
そこらじゅうをベタベタと触りまくっていたから私の指紋も当然ついているからだ。
10分もするとパトカーが来て、警官が降りてきた。
私の元までくると事情を説明することになった。
「普段はこんな色の袋を出す人はいないんですよ。で、突っ返してやろうと袋を開けました。初めは人形かと思ったんですよ。最近のは作りがいいと聞きますから。他にも住人の方が見てますが、逃げてしまったので…。ええ、私も怖いですよ。でも通報しなきゃと思いまして…。」
鑑識が袋から中身を次々と出していく。
両腕、両足、胴体…あとは丸い何かだ。
多分…頭だろう。
新聞紙に包まれていた。
それでも血が滲み出していたのかどす黒い色の血がついていた。
「オエッ…。」
吐きそうになったが吐けなかった。今朝はまだ食事をとってなかったなとその時ふと思った。それが良かったのか悪かったのかはわからないが…。
一通りの事情聴取と指紋の採取を行ってその場から離れることになった。
あの死体は一体だれだったのかはわからないが、肌のツヤから若そうな死体だなとふと思った。
その日はもう仕事にはならなかった。あの死体のことが気になって仕方がなかったから…。
その夜、1人になって考えたのはあの死体のこと。その時突然部屋の電気が消えた。
一瞬のことだったので何が何だかわからなかった。
「イタイ、イタイ…。」
聞き取りにくかったが確かに人の声が聞こえた。でも部屋には私しかいない。囁く様なその声は部屋の外から聞こえた気がした。
玄関を開け、聞き耳をたてるが声は聞こえない。
でもしばらくするとまた声が聞こえる。
怖くなった私はテレビの電源を入れ、何でもいいから音を出した。すると声は聞こえなくなり、ホッとした。その時「イタイイタイイタイイタイイタイイタイイタイ…。」
声は大きくはっきりと聞こえた。
恐怖しかなかった。
携帯と財布を手に部屋を飛び出した。でも一歩出ると静かな住宅街。わけがわからない。
なぜ私のところに出るのか?
一体誰なのか?
もしかしてバラバラにされてた死体なのかと考えた。
その日は漫画喫茶で夜を明かし、翌日自宅へと帰り新聞をチェックした。
バラバラ殺人として地方版に大きく載っていた。被害者は20代の女性。
首を絞めて殺されてからバラバラにされたらしい。ひどい事件だ。
その日も何とか仕事を終え、自宅へと帰ってきた。
もちろん事件現場は避けてだよ。通れないからね。気持ち悪くて…。
で、夜、いざ寝る時間になってなかなか寝付けないことに気がついた。
あの事件を思い出してしまうのだ。
私は怖くて怖くてラジオをかけて寝ることにした。耳元に置いてあるので余計な雑音は入らないと思っていた。が、それは突然聞こえてきた。
「うう〜。うう〜。」
やばいと思った時には遅かった。ラジオから聞こえてきていたのだ。
恐怖で混乱した私は警察に電話することに。
しかし、受話器越しに聞こえてきたのはあのうめき声。恐怖しかなかった。それほど怖かったのだ。気がつくと朝になっていた。そう、あれから意識をなくしていたのだ。
それからは何も起きなくなった。
嘘の様である。
世間では犯人が捕まったとニュースで流れていた。私にはどうでもいいことだが。
恐怖がなくなればいいのだ。何もないのが一番。
今日も夜がやってくる…。




