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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
七話:『奥津 霞』のタマゴアイドル:前編
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~~レストラン『フリッタータ』~~


あたしは近くのスーパーにある東友に来た。

筐体があるからだ。すぐに『タマゴアイドル』に入った。

ここでも、あたしはいつもの姿だ。


真っ黒なジャケットに、黒いミニスカート。

エナメル繊維のジャケットは、とてもセクシーだ。

黒のショートブーツに、黒い警察帽子。


それが今のあたし、『カスミン』。

手も足も切り傷が入っていない、純粋で可愛い女の子だ。

ライブを終えたあたしは、一目散にガチャガチャの機械に近づく。

ここにあるガチャガチャの機械は、どこにでもあるハンドル式だ。


「それで、今日もガチャを引くのか」

「当然でしょ、ミーコが揃えられなかった衣装をあたしは揃えるの」

「あの子がなれなかった『エンジェルガール』を手に入れるの」

あたしが回すのは『グミキャンディ』だ。

一回ガチャを回して、あたしは舌打ちをした。


「またSR(スーパーレア)か」

「衣装としては悪くないぞ。それは、持っていないアイテムじゃないか」

「マジックガールのティアラでしょ、全く興味ないわ」

あたしは、一つのアイテムしか興味がない。


「でもマジックガールは、『ポリスレディ』コーデよりレア度は高いし」

「興味ない」

あたしはそう言いながら、次のガチャを回していた。


「まだ出ないわ」

「目が怖いぞ」

「ええ、これだけ回してなんでトップスだけ出ないのよ?」

「ボトムス、ブーツ、アクセサリーも出ているのにな」

「とにかく、揃えないといけないわ。ミーコが作りたかったコーデ」

あたしはガチャを回したが、アイテムが出ない。


「もう、五回目だぞ」

「わかっているわよ」

「運にも見放されているな」

「うるさい、黙れ!白いの!」

不満を言いつつも、もう一回引いていた。


「なかなか、次のコーデは完成しないのぅ」

「絶対諦めない」

ガチャの結果が思わしくなく、あたしはイライラしていた。

イライラのあまりに、筺体をどつく。


「こらこら、どつくなっ」

「うるさいっ!」

あたしは手にした五枚のカードを、苦々しく睨む。

衣装はこうしてガチャから出たものが、カードになった。


「あたしにとって、ミーコは全て。あなたは早くハコベを探しなさい」

「ふむ、お主は荒っぽいのがいかん。そんなのではいつまでたっても……」

「言っておくけど、あたしのアイドルランクは『大陸的アイドル』よ。

今日だってグッドを3000上乗せしたし」

「グッドだけ稼げは良いものではない。

友達もいない、腕だけは一流かもしれないがそれでは最終的にはアイドルランクは……」

「メグッポよりは上よ、それに……」

「それに?」

「あの時のミーコは、すでに超えたのよ。ミーコは『アジア系アイドル』だから」

あたしは、思い出して泣いていた。



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