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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
七話:『奥津 霞』のタマゴアイドル:前編
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『6月16日』

あたしは、今日も家にひきこもっていた。

学校で人に会うのが嫌だ。ミーコは、特に友達を作るのがうまいから。

ミーコにはあちこちに友達がいて、その親友に会うのが嫌なのだ。

あの班だってそうだ、あたしは会いたくない。会いたくないのに恵に会ってしまった。


だから学校にはいかない。それでも、勉強しないのとは話が違う。

木曜日は、時間を決めずに現代史を勉強していた。


学習机に向かって、あたしはいつも一人で勉強をしていた。

試験の時だけは、学校にはとりあえず行くようにはしていた。

成績を出しているので、教師も安易に落第にはできない。


「今日もつまらない」

机で教科書の問題を解きながら、そうつぶやいていた。


「暇なら学校にでも行けばいいだろう」

そう言いながらしゃべるのが、タマドルカードのイースター。

イースターはあたしとだけしか、会話ができない。


「そんなことできるわけない。あたしは嫌われているの。

学校の人間がみんな死んでくれれば行くわ」

「相変わらず怖い性格だな」

「そうね、眠くなったし足でも……」

そう言いながら、机の引き出しから取り出したのがカッターナイフ。

カチカチと刃を伸ばして、ジャージのズボンをめくり上げた。

めくり上げた足も、傷の跡が多数見えた。


「気に入らない、何もかも」

「そんなことして、何になる?」

「あなたにはわからないでしょ!大事なものを失った辛さが!」


カッターを持って、振り上げた。

振り下ろして、赤い血が足首を切り刻む寸前で止めた。


「何のために生きているか、わからないの。

死にたい……だれか殺して」

「苦悩はわかるぞ」

「わからないっ!」

あたしは、自分の足首を切りつけられなかった。

震えて手で、落としてしまうカッターナイフ。


「わかっているわよ、こんなことをしても無駄だって」

「どこにいく?」

「ちょっと出かけるわ」

そう言いながらジャージを下ろして、自分の傷を隠すのだった。



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