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『6月16日』
あたしは、今日も家にひきこもっていた。
学校で人に会うのが嫌だ。ミーコは、特に友達を作るのがうまいから。
ミーコにはあちこちに友達がいて、その親友に会うのが嫌なのだ。
あの班だってそうだ、あたしは会いたくない。会いたくないのに恵に会ってしまった。
だから学校にはいかない。それでも、勉強しないのとは話が違う。
木曜日は、時間を決めずに現代史を勉強していた。
学習机に向かって、あたしはいつも一人で勉強をしていた。
試験の時だけは、学校にはとりあえず行くようにはしていた。
成績を出しているので、教師も安易に落第にはできない。
「今日もつまらない」
机で教科書の問題を解きながら、そうつぶやいていた。
「暇なら学校にでも行けばいいだろう」
そう言いながらしゃべるのが、タマドルカードのイースター。
イースターはあたしとだけしか、会話ができない。
「そんなことできるわけない。あたしは嫌われているの。
学校の人間がみんな死んでくれれば行くわ」
「相変わらず怖い性格だな」
「そうね、眠くなったし足でも……」
そう言いながら、机の引き出しから取り出したのがカッターナイフ。
カチカチと刃を伸ばして、ジャージのズボンをめくり上げた。
めくり上げた足も、傷の跡が多数見えた。
「気に入らない、何もかも」
「そんなことして、何になる?」
「あなたにはわからないでしょ!大事なものを失った辛さが!」
カッターを持って、振り上げた。
振り下ろして、赤い血が足首を切り刻む寸前で止めた。
「何のために生きているか、わからないの。
死にたい……だれか殺して」
「苦悩はわかるぞ」
「わからないっ!」
あたしは、自分の足首を切りつけられなかった。
震えて手で、落としてしまうカッターナイフ。
「わかっているわよ、こんなことをしても無駄だって」
「どこにいく?」
「ちょっと出かけるわ」
そう言いながらジャージを下ろして、自分の傷を隠すのだった。




