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『6月12日』
二日前のスーパー、あの日は彼女と話すことができなかった。
あの子は、ミーコがいなくなってもいつもどおりだ。
だけど、あたしは違う。すべてが変わった。
本質的には、彼女と話したかった。一年の時は臨海学校の時以来、話すことはなくなった。
その後のあたしは、二年生になってだいぶ変わっていた。
まず、学校に行かなくなった。
ミーコとは小学校からの付き合い、あたしの人生の十年以上を共にした大親友。
彼女がいない学校に、あたしはなんの魅力もなかった。
そんなあたしは、今日も近所のスーパーに出かけていた。
閉店時間が迫っていたスーパーは、人が少ない。
六月のこの日、あたしはなんとなく来ていた。
学校にもいかない引きこもりのあたしが、外に出るのはレアだ。
兄がいないので、仕方なくあたしが買い物に出かけていた。
買いに来たのは夕食の惣菜だ。惣菜を入れて、何気なく寄ったのが果物のコーナー。
そこで、あたしはある果物の前に立ち止まった。
(さて、ご飯も買ったし……帰るか)
レジに持って行って会計を済ませる。財布の中身は、いつもどおり少ない。
レジを通したあと、ビニール袋に買ったものを入れていたとき、ふと奥のほうが見えたものがあった。
それは黒い霧のようなものだ。
中ではライブらしきものが見えた。
「何かしら?」
「あれはリアルライブじゃ?」
「リアルライブ?ああ、ゲームの中に閉じ込めてダンスするヤツね」
「そうじゃ、じゃがカクイドリが襲うと戦うことができる」
「へえ、そうなの」
「おそらく、ヤツじゃ。二日前の女」
イースターの言葉は知っている。リアルライブの相手は恵だとわかった。
「あたしは元々ライブなれをしているが、恵は始まって二日。
ライブ慣れはしていない、カクイドリのライブはむしろ苦手」
あたしは、カクイドリのリアルライブを三度していた。
初めてのライブは少し緊張したけど、やることは同じ。
「助けぬのか?」
「なぜ助ける?」
「お主はきっかけを欲しいのではないか?」
「いらない……だけど」
そう言いながら、ライブをじっと見ていた。
タマドルの恵はピンク色のナース服だ。そして翼が生えていた。
髪の色はロングだけど、色が違う。
「これって……『ナースエンジェルコーデ』かっ!クソッ」
ライブをしている恵のタマドルは、衣装がボロボロだ。
カクイドリが、恵の衣装を切り裂いていく。
「入るぞ」
「流石じゃ」
「言っておくが助けるわけじゃない」
「わかっておる」そう言いながら、あたしは迷うことなくタマゴアイドルの筐体に向かっていた。




