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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
六話:『宇野中 撫子』のタマゴアイドル:後編
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夕方の放課後。私は奥津先輩と一緒に帰っていた。

それは私の誘い、初めて男性を誘った。

車を呼ばないで、通学路を歩く。

本当は家に呼びたかったけど、あえて学校から反対側のショッピングセンターにしていた。


「ショッピングセンター?」

「はい、私は本当のことを話さないといけません」

「本当のことねぇ」

奥津先輩は、頭をかいていた。

ショッピングセンターは、いろんなお店ながらぶ。

その中で、私がたどり着いたのはおもちゃ屋だ。


「で、おもちゃ屋なの?」

「はい、このおもちゃ屋は私がよく行っていた場所です」

「行っていた?」

「あっ、いえ。ゲームとか売っているんですよ」

「うん、そうだね」

ショッピングセンターのおもちゃ屋は、プラモデルや子供用のブロックが売られていた。

ゲームソフトや、着せ替え人形なんかも売られている。


「それで、話ってなんだい?そろそろ聞きたいけど」

「奥津先輩は、『ナデシコ』という女の子をご存知ですか?」

「ああ、知っている。そうだ、今度宇野中さんにも見せてあげるよ。

来月には部活で写真を……宇野中さん。なんか知っているのかい、『ナデシコ』のこと」

「そのことですよ」私は笑顔を見せて、あるゲーム筐体の前に来ていた。

それは『タマゴアイドル』というゲームの筐体。


「ゲーム筐体『タマゴアイドル』?」

「はい、これです」

そう言いながら、私はタマドルカードを取り出していた。


「よく見ていて欲しいです。話はそのあとです」

「うん」なにかを感じたのか、奥津先輩はそのまま私に注目していた。

私は『タマゴアイドル』を起動させて、消えた。


消えてまもなくして、私は『ナデシコ』に変身した。

それは、オレンジプリンセスコーデのナデシコ。

ピンクの髪に、オレンジ色のブラウスとホットパンツ。

白いソックスに、オレンジのポーチ。

まさに奥津先輩が、よく見ていた『ナデシコ』になっていた。


「これが私の正体です」

「『ナデシコ』は、宇野中さんだったのか」

「はい、また嘘をついてごめんなさい」

それでも、奥津先輩はじっと『ナデシコ』になった私を見ていた。


「宇野中さん、でもなぜ『ナデシコ』の姿で俺の前に現れたの?」

「私は、好きな人に会いたいから学校に行っていました。

この格好で、違う自分に変身して勇気をもらうためです」

「好きな人……まさか」

「はい、私は先輩が大好きです」

頬を赤くした私は、精一杯微笑んでいた。

生まれて初めての告白を、奥津先輩にした。


「……そうか。そうだったのか」

「はい、でもあの時は、逃げてしまってごめんなさい。

ボロボロになった姿を、好きな人に見られたくないので」

「うん」

「それでも……それでも私はあなたのことが大好きです」

「宇野中さん……」

「私のこの気持ちを、受けとってもらえますか?」

私は胸に手を当てて、大好きな奥津先輩を見ていた。


奥津先輩は、ずっと私から目を逸らさないで見ていた。

しばらく流れる、沈黙。

ゲーム筐体のアイドルの音楽だけが、二人の間に流れる効果音のようだ。


この体ではドキドキはしないらしい。

やがて、奥津先輩が口を開く。


「ごめん。宇野中さんの気持ちは受け取ったけど、いきなりのことで俺の頭の整理が追いつかない。

二、三日時間をくれないか?……ちょっと考えたい」

「そうですね、わかりました」

私はちょっとだけ胸が痛かった。

それでも、最後まで彼に笑顔を見せていた。



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