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それは、あまりも突然にやってきた。
どうして二年の教室に、三年の奥津先輩あいるのだろうか。
それはわからない、分からないが教室には一人の少女がいた。
もしかして、と背中にいる恵をちらりと見ていた。
「まさか……」
「宇野中さんって、このクラスなの?」
「えっ、ああ、はい」
思わず嘘をついてしまった。
すると、奥津先輩がポケットから一枚の紙を出してきた。
「実は、妹が忘れ物をして。手提げかばんがあるんだけど。
なんていうか、妹は女だから……そのこれを持ってきてもらえるかと」
「えっ……妹ですか」
後ろの恵を見て、ホッとした。
恵のことが好き……とかそういうのではないようだ。
だけど、一瞬にして顔を赤くした。
「ええっ?」
「とってきてくれないか?」
「あの……えと……ごめんなさい。妹さん知らないです」
私は奥津先輩の妹が、わからない。
「そっか、霞って言うんだけど」
「霞さん?ですか?」
「ああ、頼むよ」そう言いながら手を合わせて私に頼んできた。
頼まれながらも、私はあることを考えていた。
「そういえば、宇野中さん」
「なんでしょうか?」
「なんだか、宇野中さんの声ってそん声だっけ?」
「どういうことですか?」
「あ、いや……宇野中さんと会うのは初詣以来だけど……最近聞いたことがあるなって」
「はい、そうですね」
私はやはり怖かった。
怖かったので、どうしても言えなかった。
「わかりました、ではとってきますね」
私はそう言いながら、恵のいる教室に入った。




