073
その日の夜、私は自分の部屋で布団の中にいた。
私はまた彼に告白できない、それが悔しかったのだ。
こういうときの広い和室が、恨めしい。
私が泣いていても、その声が響くからだ。
「お嬢様、ご飯の時間ですが」
メイドであるハコベが、布団の外から声をかけてきた。
「いりません」
「そうですか……でも食べないと、お体に差し支えますよ」
「ほっといてください!」
私は、珍しく怒りをぶつけた。ハコベは、静かに布団のそばに何かを置いていった。
どうやら食べ物らしい、匂いが布団の中にも漂っていた。
私は致命的な失敗をした。
タマドルに変身した、変身することで奥津先輩と近づけた。
近づけたのに、カクイドリに何もかも台無しにされた。
「あの人の幸せを、コーデを喰らい尽くすカクイドリを許せません」
「そうじゃな、奴らが現れて我らも追い出されたのじゃ」
私の胸から声が、聞こえた。
それは、『タマドルカード』になったタマちゃんだ。
「お主は本当に心が強いな。
平静を装っていながら、穏やかでありながら実に強い自分を持っておる」
「はい、では私は……」
「ハコベ様を助けることです、イースターを四人そろえることが絶対条件です」
「わかりました、今わかっているのは二人。
『詰草 恵』と『シエル』ですね」
「そうじゃな、何とか二人の協力を得ないといけない」
タマちゃんがそういうと、私はタマドルカードを見ていた。
「ど、どうしたんじゃ?」
「私は変身が好きなのですね」
「お主は、やはり変わりたいのじゃろう。それを潜在的に持っていたということじゃよ。
カクイドリは許せぬやつじゃ。そして、それを操る緑魔女はもっと許せぬ」
「『緑魔女』?そういえばそれはなんですか?
ハコベもなぜか追いかけているのですが、あまり言ってくれないのです」
「そうか、無理もない。ハコベ様が、いずれ話すこともあるじゃろう」
「それは、私がまだハコベに信用されていないのですか?」
「いえ、むしろその逆です。ただ、敵ということだけは覚えておくのじゃ」
「わかりました」
私はよくわからないけど、とにかくなんとなく心に刻んだ。
「とにかくはまず、二人を調査してコンタクトを取る方法を……」
「はい、少し学校で調べてみます。
少なくとも『詰草 恵』は知っていますから」
そういいながら、私は布団から顔を上げた。
そして、私はそばに置いてあるお盆を見ていた。
そこには冷めていたおかゆが、置かれていた。




