072
タマゴアピール中に変身すると、曲が再開した。
私の背景には、イチゴのお城が見えた。
背景もピンクと赤でカラフルに染まる。
リアルライブも、大きな演出に変化があるみたいだ。
しばらくして、私の周りには玉が発生していた。
玉の数が、少なくなっていた。
(これって、通常のサビの音符玉の数)
私はダンスをしながら、音符玉に触れた。
通常の音符玉なら私は失敗しない。
落ち着いた私はサビを乗り越えて、間奏に入った。
(これならいけますね、私の新しい力)
私はキラキラと輝く衣装を見ていた。
目にもまぶしく輝く、衣装。ドレスも、ブーツもグローブも光り輝く。
それは光の中にきらめく姫。間奏では、疲れがあったけどそれ以上に変わった姿に感動した。
間奏で体力を回復させて、私は再びダンスを始めた。そして……
(これで、終わりですっ!)
最後のフィニッシュを踊りきると、カクイドリたちは全て観客席に倒れていた。
踊りきった私は、息を切らしていた。
戻ったのは、駅前の現実。
リアルの風景、私の肌で風を感じた。
いつもどおり人が歩いていて、襲ってきたカクイドリの姿はない。
だけど私は人の視線を感じていた。それはさっきまで気にもしなかった視線。
「こ、これは……」
衣装が元に戻っていた。
正しくは、私のピンクのドレスがボロボロだった。
赤いブーツはあちこち破け、グローブもボロボロ。
スカートもフリルが、ちぎられていた。
「ああっ、いったんもどらない……」
だけど、私の前には運悪く一人の人間がいた。
いつの間にかできた人だかりで、何人もいる中で彼の顔がはっきり見えた。
「なんで、なんでっ!」
そこにいたのは、奥津先輩だ。
先輩が人ごみの中から、私を悲しそうな目で見ていたのだ。
「ごめんなさいっ!」
私は、ベンチから立ち上がって走って逃げ出していた。
その目に悔し涙を浮かべながら。




