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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
四話:『シエル カーネーション』のタマゴアイドル:後編
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あれから三十分、私は駅前近くのハンバーガーチェーンにいた。

私とテーブルを囲んで、前には恵がいた。

ゲームの後、変身をしていないので私も恵もセーラー服姿。

同じ青いスカーフをして、テーブルを囲む。


夕方という時間から、賑わう店内。

『タマゴアイドル』を二人でかなり遊んだ。


「シエルは、こういう所によくくるの?」

「同性の友達があまりいないです」

「そっか、ボクも同じだよ。でもすごかったね」

「グッド3200とか、ソロじゃ全然でないですね」

「おめでとう、シエル……だっけ?『メジャーアイドル』」

「はい、タマドル名はシエルです」

私はにこやかに言っていた。


「でも、シエルってそのままだよね」

「シエルはやっぱりこの名前が大好きです」

「まあ、小学生向けだから」

「それでも、日本という文化は大好きです。恵もメグッポですね」

「そうかな、へへっ」

私の言葉に、恵は恥ずかしそうに頭をかいていた。


「それにしても、こうして話すとシエルは日本語上手だね」

「うん、アニメで学んできました。幼い頃から日本語のアニメも見ています。

それに、ママも日本で暮らしていたからかなり詳しいですよ」

「なるほどね~、ボクは外国行ったことないから憧れるな」

「シエルのところは、日本に少し近いかな。アムステルダムだし」

「アムステルダム?」恵には、どうやら名前がピンと来ていない様子だ。


「一応、オランダの首都なのです」

「おお、すごいね」

「そうですよ、地元はすごいです」

私は胸を張って威張ってみせた。


「自慢?」

「オランダも、アムステルダムの街も大好きですから」

「いいな、単純に自分の故郷に自信が持てて」

「恵はこの街が嫌いですか?」

「ボクの出身、となりの鈴鹿だよ」

苦笑いをしながら、恵はジュースを飲んでいた。


「アムステルダムと鈴鹿、全く違うところで生まれた私と恵がこうやって友達ですよ。

世の中は広いですね」

「だねっ。シエルがいい子でよかったよ」

「私たちはトモダチ、タマドルトモダチですよ」

「そうだね。仲良くなれそうだよ」

恵は私の前で笑ってくれた。私もそんな恵と仲良くなれそうだ。


「シエルは、どうして日本に来たの?」

「それはアニメを学ぶため……です」

言っておきながら、私は大事なことを思い出した。

私の表情はダイレクトに、曇っていた。


「ん?どうしたの?」私の顔が曇ったのを、恵は見逃さなかった。

「いやっ、その……」

「何かあったの?話ぐらいは聞けると思うけど」

「あの……」私は意を決っして自分に置かれた現状を、口に出した。


「私、今度の期末試験で成績が低かったら退学させられるのです」

「え?そう」悲しげな表情を見せたメグッポ。

「それで今、勉強しているんだけど。全然……成績が上がらないです。

頭の悪い生徒会長って、おかしいですね」

自虐的に、私ははにかんでいた。

それを見ていた恵が、急に私の手を掴んできた。


「ねえ、一緒に勉強をしない?一応ボクは頭がそれなりにいいと思うから」

恵が一言、私に言葉を投げかけた。



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