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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
三話:『シエル カーネーション』のタマゴアイドル:前編
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冷たい風を感じる、この世界。

ここは河川敷だ、だけど私の魔法少女の衣装はボロボロだ。

それだけに、余計に冷たい風を感じていた。


私の三回目の『アイドルアピール』も成功した。

アイドルアピールの成功で、衣装が回復すれば厳しいサビの攻撃もなんとかしのげた。

ライブ終了と同時に、ライブにいたカクイドリは全て消滅する。

これがタマドルの力だと、イースターは力説していた。


ライブが終わった河川敷、私は両膝をついて呼吸を整えた。

「はあっ、はあっ、疲れたですっ」

「お疲れ、地方アイドル」

「地方アイドルって、シエルのアイドルランクですね」

「左様、だがまだ終わっておらぬ」

「ええっ、まだいるのですか?」

「奴がいる」

「奴とは?」

私は周囲を見回すが、カクイドリの姿は確認できない。


「いないですよ、カクイドリ」

「カクイドリではない、あれは間違いなく……」

「誰かいるです」

私は気配を感じて、上を見た。河川敷の上には砂利道がある。

そこの砂利道を走っていく少女が見えた。


「あれは?まさか……」

「追うぞ」

「うん」私は呼吸乱れたまま、ゆっくりと走ろうとした。

だけど、次の瞬間起き上がった体を針で刺されてかのような痛みがあった。


「いやああああっ!」

足を一歩前に出しただけで、体に痛みが走った。

思わず声を上げて、顔を歪ませた。体を走らせることができない。

外傷はないのに、全身が痛い。


「これだからライブは……したくない」

走れない私は追いかけるのをやめて歩くしかなかった。

顔を歪め、ようやく河川敷から階段を登る。


「追いかけぬのか?」

「とにかく、ダメージが大きい。一回帰るしか……」

私は近くに置いた自転車まで、なんとかたどり着いた。


「あら、あなたは?」

そんなとき、私は聴き慣れた声を聞いた。

その声の方に振り返ると、真っ黒い髪の清楚な少女がピンクの着物姿で立っていた。

そして、彼女の背後には一台の長くて黒い車が止まっていた。



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