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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
二話:『詰草 恵』のタマゴアイドル:後編
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025

ボクが、隆聖のスマホを耳に当てた。

隆聖のスマホは、ボクのより一回り大きい。

スマホに、耳を当てると聴こえてくるのが佐藤さんの声だ。


「佐藤さん、もしもし」

「ああ、ごめんね。ちょっとひとつの話がまとまりそうなので」

「ひとつの話って」

「ああ、君のデビューの話」

佐藤さんは、いきなり飛躍的な事を言ってきた。ちょっと声が高い。


「あの……ボクは、まだデビューをするって決めていませんけど」

「君の才能は素晴らしい。

是非デビューするしかない、君の魅力なら全国にも……いや世界にも通じる」

「そうですか……」

ボクは照れていたけど、打ち上げの隆聖と虎太郎がコソコソ話していた。

何を話しているのだろうか。


「君のデビューに、ふさわしい場所も用意してある。

名古屋のアイドルの聖地『名古屋スペシャルサウンドクラブ』略してNSSCだ」

「ええっ?NSSC?」ボクは驚くしかなかった。

「驚いただろう、でも君の魅力ならここは立派なスタートにふさわしい。

何も驚くことはない、君ならできる。あとは契約の話だけど……」

「まって、契約は……ボク一人だよね」

「当たり前だ。君の魅力なら一人の方がいい。

ほかの人間とは別れるべきだ。なに、心配はいらない。

演奏のプロを、こちらで用意できるアテはある。

君のライブを見て、知り合いのプロのミュージシャンが興味を持っていてね」

「そんなんじゃないんです」

「君は……歌を聞いて欲しくないのか?」

「えと……今日は失礼します」

ボクはそのままスマホの通話を切った。

それを、隆聖と虎太郎はじっと最後まで見ていた。


「話してくれないか?なにがあった?」

ボクがスマホを渡す隆聖は、険しい表情でずっと見ていた。



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