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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
一話:『詰草 恵』のタマゴアイドル:前編
17/159

017

『6月17日』

あの夜から数日後、ボクら『ノットシステム』のライブが行われる金曜日の夕方が訪れた。

会場は夜七時からだけど、会場近く四日市の駅近くにいた。

学校が午前中で終わった午後、一度家に帰って着替えて駅に集合したのは昼の三時すぎだ。


平日の昼間ということもあって僕は、普通の『詰草 恵』。

ジーパン姿にシャツといつもどおりカジュアルな格好だ。

ボクは街灯で、ビラを配っていた。


「今日の夜、ライブハウスで『ノットシステム』のライブやりま~す。

よかったら見に来てくださ~い」

ボクは声をかけて、ビラを配るも大学生らしき男性はスルーした。


「ビラを配らないとな」

「会場費はこの前の路上ライブでなんとかなりそうだけど、お客さん来るのだろうか」

隣で愚痴る虎太郎。彼も、また大きな体でビラを配っていた。

虎太郎の衣装も、あまり変わらない。短いシャツに黒の短パン。かなりラフだ。

彼の持っているビラが減っていないことが、苦戦を物語っていた。


「ライブハウスのノルマってきついよな」

「そうだな、客がガラガラにならないように。こうやって配るってわけさ」

隆聖もまた、ガラモノシャツに迷彩柄のズボンと私服だ。


「けどよ……認知度低いよな」

「まあ、学生バンドだし。僕らの音楽を広げることを……」

「俺はヤダぜ、ガラガラの中でやるの」

虎太郎は、相変わらず不満そうだ。


「その前に、ビラ百枚配らないとライブすらさせてもらえないよ」

「だよな、金までとってノルマ決めてひどいだろ」

虎太郎は相変わらず、不満そうだ。


「でも、前回みたいにお客さん来れば、ボクらの声は届くんだし」

「なあ、メグッポ」こういう呼び方をするのは、虎太郎しかいない。

「どうしたの?」

「前みたいに、イメチェンっていうかあの可愛い格好はどうしたんだ?」

「えっ、それは……」

あの日、カクイドリに襲われた。

それ以来、ボクの中には少しの抵抗があった。


「うーん、あれは……」

「あの格好をすれば、みんな見てくれるんじゃないか?

あの格好、すごくかわいいし、めちゃくちゃ目立つし」

「ああ、そうだね。確かに可愛い。

恵の違った一面が見られて、僕も好きだな」

虎太郎が頷き、隆聖が同意した。


「やっぱり、そうかな……」

「ああ、絶対あっちがいいって。すげえかわいいし、女の子っぽい。

だいたいメグッポは元々可愛い声なんだから、わざわざ男の子っぽくする必要もないだろ」

「おねがい、できるかな?」

隆聖に言われて、虎太郎に褒められてボクは少し恥じらいながら頷いた。


(だいじょうぶだ、きっと)

ボクはちょっとした迷いを断ち切って、変身をすることを決めた。


「じゃあ、ちょっと待ってくれる?」

ボクはそう言いながら二人に切り出していた。



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