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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十二話:綴 緑子のタマゴアイドル:後編
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(KASUMI’S EYES)

あたしにとって、ジャージを着ないのは久々だ。

いつも肌の露出を抑えるために、あたしはジャージが手放せない。

それは、体にある無数の傷。

腕や足には、まだ切り傷のあとが残っていた。


それでも、あたしは変われた。

住宅街の家の前で、待つあたし。

一軒家の前で、あたしは待っていた。

やがて、ひとりの少女が家から出てくる。


「おはよう、カスミン」

それは一年前と同じ笑顔で出てきた緑子(ミーコ)だ。


「うん、ミーコ。おはよう」

「カスミンは、ちょっと怖い顔だよ」

「そうかな……ふふっ」

あたしとミーコは一緒に歩く。


「でも、カスミンは相変わらずだね」

「何が、相変わらずなの?」

「嘘を隠すのが苦手だって」

「苦手じゃない、あたしは……」

「ずっと、私のことで迷惑をかけたみたい。ごめんね」

不意にミーコがあたしの手を掴んできた。


「ミーコ?」

「カスミンは、あたしが勝手にいなくなって許してくれないと思うけど」

「そんなことない」

あたしは必死に言い放った。


「あたしはミーコがいなくて、自分が不安になった。

自分がこんなに弱いと思い知らされたわ。

だから……あたしは学校にすら行っていない。

すべてを投げ出そうとしたの……あたしは弱かったから」

「でも、カスミンは強いよ。私が保証する」

「ミーコ……」

落ち込むあたしに、いつも一筋の光を差し込むミーコ。

そんなあたしは、やっぱりミーコが好きなのだ。


「うん、でもあたしはやっぱりミーコといっしょがいい」

「そうだね、ごめんね。心配ばかりかけて。私はずっと一緒だから、ね」

「うん、ミーコ」

あたしはミーコの手を掴んだまま、泣いていた。

あたしの前のミーコは、あたしの手を掴んだまま穏やかに微笑んでいた。



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