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(MEGUMI’S EYES)
ここは、ボクのライブ会場。
町にある小さなライブハウス。
皆と一緒にダンスをした。ダンスというライブで自分がまだまだと知らされた。
『ノットシステム』のライブは今日もあった。
ボクはいつもどおりのジーンズ姿。
それがボクであり、ボクの姿。
だけど、観客はあまり多くはない。舞台袖で観客席を見ていたボクら。
「少ないね」
「まあ……これが俺たちの形だろ」
それを言ったのは、虎太郎だ。
「だな、恵は今日もかわいいよ」
「お世辞でしょ、お世辞でしょ隆聖」
「えと……そのだな」
「隆聖ははっきりしているからね、嘘つけなんだよ」
ボクはわかっていた。だけど、それでもうれしい。
「じゃあ、いくか」隆聖の言葉で、ボクと虎太郎は顔を上げた。
「うん」
「しょうがないぜ」
ボクら三人は今日もライブ会場のステージに立つ。
そこにはボクらを待つ観客が、出迎えてくれた。