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そんな私を導いてくれたのが、あのライブだ。
ライブが終わって、自分は立ち止まっていた。
ハコベの弾いた、音符玉が私の仲間であるカクイドリを倒す。
緑色のポンチョを開けて、私の前には霞。
「もう、戻ろう」
「霞……なんで?」
「あたしには緑子が必要よ」
「私の何が必要なの?」
私の言葉に、近づいてきたのが撫子だ。
「緑子さんは、私たちを初めてつないでくれました。
私たちは、みんなタマドル、みんなトモダチですよ」
「友……達?」
「はい、そうです。緑子さんにつなげてもらった四人なのです。
ううん、そうじゃないハコベもまた……」
撫子に促されて、出てきたのがメイド服のハコベ。
「あなたは、私を……」
「自分は、ずっと考えていました。
なぜ、タマドルがお嬢様なのかを、霞なのかを、恵なのかを、シエルなのかを。
それは、あなたに近いからです。自分がいなくなって、ばらばらになる四人を繋ぎたかった」
「私は……羨ましかったの。
みんなは、それぞれ違う。撫子は温和で優しくて、霞は頭がいい。
恵の声がとても可愛くて、シエルは責任感が強い。
だけど私には……」
「そんなことないです」撫子が顔を赤くした。
霞が私のことを抱きしめた。暖かい、そして懐かしい霞。
「あたしは、緑子に帰ってきて欲しい。その気持ちに間違いはないから」
「うん、ボクらには緑子が必要なんだ」
霞に合わせるように、恵も続けた。
「私が必要なの?」
「そう、だから帰ってきてもいいのよ」
霞が笑顔を見せると、私は顔を上げた。
「こんな私を許して」
「ううん、戻ってくれてありがとう」
私は、涙を見せながら霞に顔を向けていた。