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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十二話:綴 緑子のタマゴアイドル:後編
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153

(MIDORIKO’S EYES)

私は暗闇の中でいつも、怖がっていた。

それは何もない場所。

カクイドリが自分の体を覆う。


私は暗い闇の中にいた。

ぽつんとひとりきりで、暑くも寒くも感じない宇宙のような空間。


私は何もないひとりの人間。

だから、何かが欲しかった。


霞は頭がいい、恵は声が綺麗、会長は美人だし、撫子はお嬢様だ。

だけど、私にはそれがない。

からっぽで、空虚で、何もない自分が生き残る術は少ない。

だから自分を変えていた。高校デビューと言えるかもしれない。

明るく人と話すことで、自分はみんなと対等だと思っていた。


私の周りのカクイドリが、こちらを見ていた。

何かを誘っているようだ。


(私を哀れむの?)

黒くて気味の悪いコウモリの群れ。

その場を飛んだまま、私を取り囲んでいた。


(そうよね、私は何もないから。カクイドリ)

私は近くのカクイドリに優しい目を見せた。

一匹のカクイドリが敵対心をむき出しに飛びかかる。


(私を消しても何も変わらないわ)

そんなカクイドリが、私の頭に噛み付いてきた。


(痛いけど……痛くない)

カクイドリは私の頭に噛み付いたまま、羽をバタバタさせていた。

カクイドリは、自分の思考を読んでいるみたいだ。


(わかった、私は何もない。変われなかったの)

私が頭の中で思うと、カクイドリに私の言いたかったことが伝わったらしい。

すぐさま私の頭から離れた。


「あなたたちも、変われなかったのね」

私は不敵な笑顔を見せた。


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