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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十二話:綴 緑子のタマゴアイドル:後編
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歌がとまった、ライブが終わったのか。

まだ終わっていない。時間が一瞬だけ止まったのだ。

止まった時間の中で、あたしは一人だけ動けた。

そんなあたしの前では、王座に座る緑魔女もまた動いていた。


「ここは?」

「今、動けるのはあなたと私だけね」

緑魔女が上から声をかけてきた。見上げた緑魔女はフードをかぶっていた。


「あなたは緑魔女……いや緑子」

「そう、私はかつて綴 緑子といわれていたわ」

「ずっと、疑問だった。緑子、あなたは地球にいた時はそんな子じゃなかった。

みんな、緑子のことが好きだった。なのになぜ?」

「私は、そんな褒められる人間ではない。

何もない、霞や恵、撫子にシエルと違って何もない」

「何を言っているの、みんなあなたの話をして……」

「何がわかる?私はごく普通なの。ごく普通で目立たない一人の女子。

キャラも、個性も何もない没個性の一人間」

緑子ははっきりと言い放っていた。

そこに彼女の闇が重なる。


「霞が言っていた、受験の失敗か?」

「それだけじゃない、自分はもっと小さいころから何もできなかった。

みんなのように、何ができる個性がないの」

「個性なら、あるじゃない」

「ないわよ」

「みんなが認めている社交性は個性ではないの?」

あたしはずっと持っていた疑問だったことを言った。


緑魔女は、緑子は変わりたかった。

平凡で何もない自分を変えたかった。

そのために彼女は、カクイドリにとらわれることを望んだ。

変われる力を手にして、自分や周りを変えようとした。


「私は、私は……」

「あなたは素直な子です。あなたにもある変身願望が、一部のカクイドリに誘惑されただけ」

あたしは緑魔女を抱きしめた。


「私は……」

「素直でいいですよ、自分はあなたを今なら許せます」

「うん……ごめんなさい」

緑魔女は消え、いつの間にか素直な緑子に戻っていた。

彼女を覆う、カクイドリのオーラが消えていた。



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