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ライブの曲目はあらかじめ決まっている。
あたしは、いつも通りのブラックメイドコーデだ。
ERの衣装で、もちろんエッグアピールが使える。
カスミンも、エンジェルガールコーデ。
羽が生えている、前にあたしが着ていたコーデだ。
ナデシコは、いつも通りのピンクのドレス。
イチゴプリンセスコーデ、ナデシコの髪もピンクで衣装の相性がいい。
シエルは、最近手に入れたコアクマコーデ。
紫のスカートに、黒のツインテール。
メグッポは、アンブレラコーデ。
期間限定の水色雨傘コーデ、七月になってもう手に入らないらしい。
ライブの曲は自分も知っている。
その曲はかなり長いバラードだ。
イースターモードが始まると瞬間に城が光りだす。
風船が一斉に空をめがけて飛び、上がっていく。
そして、あたしの足元に多くのカラフルなタマゴが現れた。
(これがイースターモード)
その演出は、今までのライブと違う。
だけどあたしの口が動いている。これは同じだ。
今までのライブと違いがない。
あたしの後ろには、カスミンも、ナデシコも、メグッポもシエルもいる。
このライブを絶対に成功させる。
あたしの周りに現れる音符玉を見る。
最初なので、数は少ない。
(とにかく、まずはできる限り……)
だけど、音符玉に確実に触れてカクイドリを沈めていく。
観客のカクイドリはかなり静かだ。
(いつものパターンだと、後半に集中させてくることもある)
あたしは周囲に気を張りながら、ライブを続ける。
カクイドリの数が減らない。
無数に王城に取り囲んでいる黒い物体は威圧感があった。
(それ以上に、エッグアピールを)
あたしはカメラ目線で、アピールを繰り返す。
ERの衣装を着ていないとできないアピールだ。
(自分は自分のできることを)
エッグアピールを成功させると、あたしのメイド服が光りだす。
これが、『チェンジワールド』の発動条件でもあるのだ。
(あとは、ライブ中に……)
だけど、あたしの周りの音符玉がサビでも増えない。
(もしかして、緑魔女はほかの人を……)
背後をチラリと見たが、カクイドリそのものに動きがない。
四人の衣装にもあまり大きな変化はない。
(こんなに素直に行くのかしら?)
あたしはそういいながらも、次のステップに頭を巡らせた。
『チェンジワールド』にはステップが専用である。
あたしのステップが最後だ。
みんなの成功の結果を受けて、最後にあたしの番が回ってくる。
もしかしたら、緑魔女はそこを狙っているのかもしれない。
曲がやがて、サビに差し掛かった時一つの動きがあった。