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緑子は緑魔女。
つまりタマドルにに関してかなり詳しい。
このタマゴ王国のことも十分理解していた。
それだけに、あたしは王座に座る緑魔女をにらむ。
だけど、最初に動いたのは自分ではない。
「緑子、帰ってきて」
「どこに帰るの?」霞の言葉に、冷めた顔で返す。
霞と緑子の関係がわかる今なら、彼女の豹変ぶりは想像できた。
それでも、緑子……緑魔女はいつも通り不敵な笑みを浮かべる。
「ここに来た以上は、わかっているのでしょ。カスミン」
「うん、わかっているわ」
「そう、ならそこの四人を」
「緑魔女の前でイースターライブをする」
カスミンは言い放っていた。
「あら、残念だわ」
「そうね、緑魔女の前でやるライブ、奇跡のライブ。
あなたの野望もこれまでよ」
カスミンはまっすぐ緑魔女を見ていた。
「そう、分かり合えなくて残念だわ」
「そうね、あなたも変わってしまったようね」
「緑魔女、あなたにはここで消えてもらいます」
あたしはカスミンと一緒に見上げた。
この時を自分はずっと待っていたのだ。
「そうね、ライブで失敗した瞬間あなたは消えるわ。
そうすれば私が名実ともに女王になる。わかっているでしょ、亡国の女王」
「負けるつもりはない」
「こわいわね、あなた」
「自分も、お前を許すつもりはない」
「いいわよ、あなたたちの最後の足掻きにつき合ってあげる。
そして、ライブが終わる前にあなたたちは消え去るのよ」
最後まで不敵な笑みを浮かべた緑魔女だった。