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『7月3日』
この日まで、自分たちは宇野中家にいた。
ライブのために練習をするためだ。
学校も、試験が終わると時間がかなりとれた。
そして、土曜日の深夜零時を迎えたのである。
ライブを終えて、自分たち五人は蔵にいた。
「いよいよですね」
「うん、今日……緑子が動く」
あたしの言葉に、お嬢様がうなずく。
「夜中から動くのかな、ボク眠い」眠そうな恵が目をこする。
「シエルは大丈夫です、夜中も動けるですよ」
「時間はわかっています、ベーツァの門が開くのは昼の十二時。
それまでに一通り用意しておいてください。
買い物に関しては、私に言っていただければ」
「ないわよ」
撫子の言葉に、霞が冷たく言い返す。
二人の関係は、まだあまり変わらない。
「はい、そうですね」
「でも、少しだけましになったわね。グッドも一万超えたし」
「ありがとうございます」
霞に満面の笑みを浮かべた撫子。だけど霞は常に撫子に厳しい。
「でも、ステップもちゃんとできないでしょ。
残り数時間、練習して精度を上げないといけないわ」
「いえ、もうやりません。後はライブに向けて休憩です。
これ以上疲れてしまっては……」
「だね」撫子の言葉に、恵が賛同した。
「仕方ないです、時間まで残りは十二時間切ったと考えていいですね」
「じゃあ、そろそろ寝ない?」
「いえ、ここでは休みません。タマゴ王国で……」
そういいながら、あたしはタマドルカードを取り出していた。
「タマゴ王国に行くわけ?」
「ええ、ライブの場所はタマゴ王国ダンスホールですから」
あたしの言葉に、ほかの四人もタマドルカードを取り出していた。