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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十二話:綴 緑子のタマゴアイドル:後編
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その日の夜、自分は和室にいた。それは恵とシエル会長がいる和室。

試験は終わったけど、二人は残っていた。

何より、そこにいたのは霞だ。


霞もまた、あたしたちの合宿に参加していた。

あたしの蔵には、タマドルの筐体もある。

練習するにはうってつけでもあるのだ。


「まだいたのか、ハコベ」

「ここは自分の家だ。それに聞きたいことがある」

「撫子を肩入れするとは」

「無論だ、イースターは五人いないといけない。

しかもその五人は既に決まっている。この五人以外はあり得ない」

「ずいぶん理不尽だな」

霞が言い放っていた。隣では恵とシエルが話をしているみたいだ。

ただ、彼女たちとあたしと霞の空気感が全く違うが。


「綴 緑子について、一番詳しいと聞いた。

自分はこれから戦う上で彼女の情報がほしい」

「緑子とは小学校からいっしょだった。それだけよ」

「それは違うよね」

そこに口を挟んだのが、恵。


「恵、口を出さないでちょうだい」

「そうはいかないよ、霞は」

「何を言っているの?」

「霞はいつも緑子と一緒だしね。ボク知っているよ」

すると、霞がすかさず恵の首元をつかむ。


「これ以上言ったら、わかっているでしょ」

「へえ、怒るってことはそういうことだよ。ハコベ、やはり緑子には霞が詳しい」

「何が聞きたいの?」

「彼女のこと、なぜ緑魔女になったか」

「知るわけないでしょ」

自分の質問に冷たく言い放つ、霞。


「彼女は、少なくとも地球にいた時はこんな性格じゃなかったんでしょ」

あたしの言葉に、霞ははっきりと睨んできた。


「そう、緑子はそんなことは考えていないわ」

「だったらなぜ、彼女は緑魔女に?」

「でも、あなたたちは知らないのよ。恵も、シエルも。撫子だってそう」

霞はどこか遠くを見ているようだ。


「あたしは、緑子に羨ましがられたのよ」

「え?」意外な言葉に、あたし以上に恵が驚いていた。

「羨ましい……」

「そう、あたしには緑子にないものなんか何もない。

何もないはずなのに、自分は……」

「霞って、何もないの?」

あたしは一言、言い放った。

その一言で、霞の眉が動いた。



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