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タマゴ王国に帰るのは、ライブのほかに自分のコンパクトからベーツァの門を開けた。
そこから自分は行き来ができた。
このコンパクトが、緑魔女に奪われなくて心底よかったと思う。
自分がリアルで戻ったのが、蔵だ。
そこにいたのは、意外な人物だ。
「霞?ここにいたの?」
「ハコベ、あなたもいたのね」
霞はいつも通り、ジャージと制服を重ねたような姿だ。
肌の露出はしたくないみたいだ。
自分は本を胸に抱いたまま、じっと彼女を見ていた。
「何をしているの?」
「あなたの試験は終わったのかしら?」
「ええ、終わっているわ。それより、それは何?」
「チェンジワールド」
自分の単語を聞いて、眉をひそめた。
「そう、チェンジワールドね」
「自分はあきらめていない、五人でイースターライブをすることに」
「たった三日で何ができるの?
Bランクの恵に、ERもないシエル、何より一番足を引っ張っている撫子。
これでは何をしても……」
「恵はAになった、シエルはERのコアクマコーデを手にした」
自分が二人の変化を言っていた。
「だけど、撫子はいつまでもグッドを稼げないようね」
「そんなことはない」
自分は霞の言葉を否定した。
「否定する自信はどこにあるの?」
「お嬢様はずっと努力しています。試験の合間にかかわらず、お嬢様は……」
「ハコベ?」
そんな時、蔵が開いて入ってきたのが撫子お嬢様だ。
隣には恵とシエル会長もいた。
「あら、お荷物の撫子じゃない」
「お久しぶりです、霞さん」
挑発的な霞に対して、お嬢様は余裕を見せた。
「霞っ、なんでそんなひどいことを言うの?」
「あなたたちがお荷物だからよ。技術もコーデも、ランクも低いあなたたちはお荷物なのは」
「それはちゃんと克服したわ」
「そう……ならあたしの前でライブして頂戴。それで判断するわ」
そういいながら、霞は撫子に対して仁王立ちだ。
撫子お嬢様も引くつもりはない。静かに穏やかな顔を見せながらも、頷いていた。