014
少女は、婦警の格好のままダンスを見せていた。
それは、まさに完成された舞だ。
ダンスのタイミングが完璧で、玉を的確に弾いていく。
弾かれた玉が、次々とカクイドリを沈めていく。
圧倒的なダンスをみせ、彼女はミス一度もすることなく踊りきった。
踊りきると同時に、カクイドリの群れは全ていなくなっていた。
「さあ、あたしたちの世界へ~♪」
少女の歌が終わる頃、カクイドリはみな倒れていた。
「すごい……ライブ。圧倒的なダンス」
ボクはボロボロのナース服で、そのライブを見入っていた。
歌いきった少女は、その場に立ち尽くして観客席を見ていた。
「あれは……」
「タマドルのカスミンじゃ。
上の方に、ライブ参加者の名前が出ているだろう」
ボクの胸にいるカードのイースターが、続けた。
「カスミン?」
ボクが声を出すと、カスミンという少女はこっちを見た。
顔があったので、ボクはすかさず手を差し出した。
「ボクはメグッポ、助けてくれてありがとう」
「あなたは何のために変身するの?」
「え?」
「変身する理由なきものに、変身する資格はないわ。
少なくともあなたはあたしと違う……詰草 恵」
「なんで、ボクのことが……」
しかし、カスミンは舞台袖の方に歩いていくのだった。
最後の声に、ボクは首をひねっていた。
「どうした?ライブが終わると、一旦リアルに強制排出されるぞ」
「あの声……どこかで」
ボクはなんとなく聞き覚えのある声を、気にしていた。