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変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十一話:綴 緑子のタマゴアイドル:前編
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『6月29日』

~~タマゴ王城~~


ここはかつて自分がいた城だ。

自分は、一人でここに潜入していた。

ここでやる目的は決まっている。

今頃、撫子お嬢様や恵、シエル会長は試験をしている時間帯だ。

試験のない自分は、みんなの試験が終わるまでに調べないといけない。


潜入をしてから二日目。

今、ここの城は緑魔女が支配している。

自分を追い出して、カクイドリに守らせていた。


それでも、自分は音符玉を発生させてカクイドリを沈めていく。

緑魔女に見つかったら、逃げることをはっきりと決めていた。

少数のカクイドリを相手にするには難しくないが、大群のカクイドリを相手にできない。

見つかってカクイドリを放たれれば、ひとたまりもない。


城の廊下を走る。

目標は、地下にある書庫。そこを目指して走るしかない。

(『チェンジワールド』の手がかりを手にしないと)

あたしも、このスキルは知らない。

使う機会もないが、過去に使われた実例があったとされる。

だけど、あたしが生まれた時には使われることはなかった。


(このあたり?)

自分の目の前に、地下に下りる階段を見つけた。

書庫の位置はわかる。だけど、当然のことのようにカクイドリが守りをつけていた。


(音符玉で)

自分は、王女のコンパクトで音符玉を発生させることができた。

しかし、それを使うとカクイドリに見つかってしまう。

見つかって逃げられるまでに、カクイドリを仕留めなければならない。

音符玉を発生させて、カクイドリを沈めた。


(地下に、どれぐらいいるのだろうか)

周囲を見回しながら、自分は地下へと降りていく。

地下の書庫に行けば、求めるものは手に入る。

だけど、下の廊下を覗いて愕然とした。


(なんて数なの……)

そこには数多いカクイドリだ。

見えた範囲では三十はいるだろうか。

それを一気にしとめるのは、かなり厳しい。


(だけど、ここに行かないと……)

廊下の先にある書庫の扉が見えた。

だいぶ距離があるが、何とかあそこにたどり着かないといけない。


(お嬢様たちだって、頑張っているんだ。自分も)

お嬢様と、恵、シエル会長に霞の顔が浮かんだ。

自分のやることは、決まっている。静かにうなずいて、顔を上げた。

そして、自分は走った。

音符玉が間に合わないのなら、強行突破しかない。

見つかっても、それまでに書庫で『チェンジワールド』にまつわる本を手に入れるしかない。


走って、廊下に出た瞬間に見つかった。同時に数匹のカクイドリが奥へと逃げていく。

それを追いかけることはしない。

残り十数匹が、自分に向かってきた。

衣装を裂くと、自分の体に痛みがあった。


(ううっ)顔をゆがめながらそれでも書庫を目指して走る。

だけどカクイドリの数が予想以上に多かったのだ。

自分のメイド服を切り裂いていく。


(間に合え、自分)

自分は無我夢中で走った。

衣装が破けて、破けた衣装から自分の体に痛みが走る。

それでも足を止めなかった。


そして……

「よしっ」自分はなんとか書庫にたどり着いたのだ。

書庫の扉を開けて、カクイドリから耐えきった。

だけど自分のメイド服の上半身が、ほぼ破けて下着が見えていたのだ。



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