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~~ロコモコホテル~~
それはタマゴ王国でも有数の、巨大なホテルだ。
ホテルの前には噴水があって、カラフルな光線が空を照らす。
ホテルの前が、自分たちのライブエリアだ。
今、そこには三人がいた。
ピンク色のドレスを身にまとったお嬢様、ナデシコだ。
ドレスと同じピンク色のミドルポニーの髪の可愛らしい少女。
そして、隣には水色のドレスを着た黄緑のロングヘアーの少女。
傘をイメージしたドレスに、水色半透明のスカートは色っぽい。
彼女は、恵のタマドルメグッポだ。
「メグッポのは、新しいコーデ?」
「うん、期間限定のコーデ。『アンブレラドレス』コーデだよ」
「そっか、六月だもんね」
「ボクが持っている唯一のERなんだ」
ナデシコは羨ましそうにメグッポを見ていた。
「そういえばシエルは?」
「シエルは……あっ」
そういいながら、二人に遅れて現れたのがシエル。
シエルは、いつも通りに橙色のドレスに赤いリボンだ。
彼女がよく見せる『マジックガール』コーデ。
「マジックガールだね」
「おおっ、メグッポ変わってる」
「へへっ、昨日図書館に行く前にとったんだ」
シエルが出てきて、メグッポのコーデに感動していた。
「ERだもんね、アンブレラドレス」
「うん、思ったより早く出てよかった」
メグッポの明るい表情と対照的に、シエルが少し暗い顔を見せた。
「でも、ハコベは参加しないのですか?」
「はい、ライブは三人までですし。
それに、自分のランクは『太陽系アイドル』です。
ランクが高い人がいると、ランクボーナスポイントが下がりますから」
「そうか……ハコベはすごいんだね」
メグッポが自分のことを、やはりうらやましく見ていた。
「いえ、皆さんのほうが羨ましいです。自分にはずっと……
無事、メグッポがAランクに昇格できるといいですね。
『アジア系アイドル』になれるように応援しているね」
「うん、ありがと」
メグッポが真ん中だ、両脇をナデシコとシエルが補う。
ナデシコにとって、Bランクのメグッポとライブすることはいい刺激になる。
今のお嬢様には、ライブをこなす練習が大事だから。
「では、見ていますよ」
そういいながら曲が流れて、三人の口が自動的に動き始めた。