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自分は言うと、驚いた顔を見せた。
初めて話した、タマゴ王国の話。
自分の中では生まれてずっとそういうものだと信じていた。
信じていたから、疑う余地がなかった。
だけど、三人とも驚いていた。
「それって、カクイドリはイースターなの?」
「はい、イースターですよ」
「それ以上に問題なのは、イースターはカクイドリをどうしようと思っているのですか?」
「粛清です」
「粛清って」自分の言葉に、お嬢様が絶句した。
恵もシエルも驚いた顔を見せていた。
「救う方法がないのですよ」
「それって、おかしくない?」
「おかしくはないです、敵になった以上救う方法はありません」
「随分淡々と言うのね」
「ただ、それは自分たちタマゴ王国での場合です。
自分以外のタマドルならば、その力は未知といえます」
「ああっ、そういうことね。びっくりしました」
撫子が、胸をホッとなでおろした。
「でも、本当のところはどうなの?」
「少なくとも自分が試したことはないです、今まで全部粛清で済みましたから」
「それもすごい、よくあんなことが……」
「地球人でないから、地球人のことはわかりません」
自分は素直に打ち明けた。
撫子たちの考えている思いと、自分の考えには開きがある。
「ただお嬢様や恵、シエル会長に出会って、イースターも触れる事によってだいぶわかりました」
「わかった?」
「自分はイースターと会話できます。
イースターは、みなさんの変身願望を叶えるものです。
そして、その力はみなさん次第でもあるのです」
「次第って言われても」
「難しいことではありません、可能性が無限大なだけです」
自分は笑顔で、言い切っていた。
その奇跡を、自分は何度も見ていた。
恵が自分を変えて、女の子らしく可愛くなったこと。
シエルが変身して、自分に自信を持つようになったこと。
撫子が変身して、好きな人に告白する勇気を持ったこと。
それらをイースターが、教えてくれた。
自分はそれを知った。
それは奇跡であり、彼女たち次第だ。
だからこそ、自分には測れない。
「だからみなさんには期待しています」
「それでもハコベほど、上手くはライブできません」
不意に落ち込んだ表情を見せていた、お嬢様。
「そのためにみんなを集めたのです」
「そうでしたね、時間が空いたらライブの練習しましょうか」
「おおっ、ライブ?いいね」
反応がいいのはシエル会長だ。
「だけど、この問題を解いてからね」
恵に言われて、シエルは落ち込んだ表情をみせていた。