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和室に四人が集まっていた。
夜になって、恵とシエル会長も大きなテーブルを囲む。
自分以外は全員制服だ。
お嬢様が制服姿で、自宅にいるのも珍しい。
その中心にいるのが恵。
自分は三人が教えているのを眺めていた。
恵はどうやら三人の中で一番頭がいいみたいだ。
「これはどうやるんですか?」
ブロンズ髪のシエル会長が、恵に質問する。
教科書を見ながら、恵が的確に答えていた。
「さすが、恵ですね」
「うん、ここの公式大事だよ。シエル」
「なるほど~、ほんとに?」
シエルは、恵の言葉にしっかりと耳を傾けていた。
「あと二日、試験ありますからね」
「ですね、がんばりますですよ」
オランダ人のシエル会長が気合を入れて、左手を突き上げた。
「それにしても、ハコベは試験ないですか?」
「自分はありません。試験というものをしたことがないので」
「それは羨ましいですね」
シエルは羨ましそうに、自分に視線を送る。
「自分はそんなことはないです、周りに誰もいなかったので」
「ハコベって、そういえば生態が謎ですね」
「確かに、ボクもそう思う。タマゴ王国自体不思議な存在だし」
「自分は、もともとイースターと同じです。始めはみんな一つの白い卵からです」
「タマゴ?」
「はい、タマゴが色がついてそれぞれイースターになります。
だけどイースターの中で、特別の輝きを放つのがタマドルになります。
イースター自体がタマゴ王国の住人です。
イースターになるには、変身したい心があればイースターになります」
「そうでなければ?」
「カクイドリになります」
自分ははっきりと言い放った。それが真実だから。