表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変身少女のタマゴ系ライブ  作者: 葉月 優奈
十一話:綴 緑子のタマゴアイドル:前編
134/159

134

夕方、自分は客室の掃除に追われていた。

自分には試験はない。だから精一杯のおもてなしをするのが仕事だ。

そんな空いている和室の掃除に、お嬢様がいた。


「お嬢様はやらなくても、明日のお勉強をしていてよろしいのです?」

「いいえ、私もやります」

口元をマスクで覆ったお嬢様はなれない手つきで、ハタキを降っていた。


「でも、お嬢様の行動力はすごいですね」

「きっと緑子ならそうするでしょう」

「緑子とは、そんなにすごい方ですか?」

「ええ、彼女は誰よりも行動的でした。

一人の私と、一人の恵、そして一人のシエルを引き込んでくれた緑子」

お嬢様も緑子が好きなのだ。

それとライブで戦うことを言う自分は、お嬢様に重荷になるかもしれない。

それは難しい話なのだと、改めて思う。


「緑子のこと、お嬢様は好きですか?」

「はい、好きですよ」

お嬢様がどこか穏やかな顔になった。


「緑子は、明るくて行動的でした。

いつも霞と一緒で、輝いていた存在。

だけど彼女が一番優れていたのは、どんな闇を見逃さない目を持っていたのです」

「闇を見逃さない目?」

「私も、恵も、シエル会長もクラスではどこか浮いていたのです。

シエル会長は、外国人で文化の違いがありますし。

恵は、どこか声と見た目に違和感があります。

そんな私は、世間知らずで思ったことを口に出してしまう。

だから、みんな敬遠されていたのです。それが闇。だけど……緑子は見捨てなかった」

「そんな子が、お嬢様の前に……」

「だから、私は思ったんです。救えないかって」

お嬢様はやはり霞と同じだ。

そのことに、自分は安心もあり不思議な思いがあった。


自分は今まで、緑魔女はただの侵略者だと思っていた。

だけど、お嬢様たちは思い出がある。

いや、お嬢様だけではない。

みんな、緑子と関わりがあった。


「そろそろ、片付けをしましょうか」

「了解しました」

「緑子も」

「お嬢様?」

「ハコベの世界を、侵略したのも緑子です」

「はい、そうですね」

いきなりの言葉に、自分の表情が緊張していた。


「緑子を連れて帰らないとね、イースターライブの成功は欠かせませんから」

お嬢様は、掃除をしながら笑顔を見せていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ