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『6月27日』
翌日、自分は車に乗っていた。
黒塗の大きな車、自分はそこにいた。
月曜日の平日、お嬢様は制服を着ていた。
お嬢様には学校かがある、しかも今日は試験の日。
「昨日はすいません」
「いえ、学生ですから試験はあるのは仕方ないです」
少し眠たそうに、お嬢様が自分の顔を見ていた。
「今日もお願いしますね」
「はい、自分はいくらでも手伝いますよ。ですが体を……」
「私は頑丈だから大丈夫ですよ、こう見えても体強いです」
穏やかに微笑んでいたお嬢様。
「少しずつライブのために、練習もしていけばいいと思います」
「大丈夫です、もっと難しい練習をしましょう。鍛錬は得意ですよ。
それにあと一週間ありませんし。
次の日曜までに、カスミンに認められるライブ技術を見せないといけませんから。
それだけじゃない、メグッポやシエルとも」
「そうですね、ちょうど恵とシエル会長です」
タイミングよく、恵とシエル会長が二人通学路を歩いていた。
なにか会話をしているのだろうか。
車のスピードを落とすよう、お嬢様が言う。
そのまま窓を開けて、通学路を歩く二人のそばにつけた。
「恵、シエル会長」
「あっ、撫子」
「おはようです、撫子」
恵とシエル会長が反応した。
「今日、試験が終わったら、お二人を拉致させてもらいますね」
「えっ」驚いた顔を恵は見せていた。